2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K09568
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
鄭 雅誠 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50792272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 渉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90826926)
畑 純一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00568868)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トラクトグラフィー / 嗅神経 / 嗅球 / 嗅上皮 / マーモセット |
Outline of Annual Research Achievements |
「嗅神経地図」は, 鼻腔内の嗅上皮と嗅球の間の, 嗅神経を介した空間的相関性および対応を描出したものである. これまでの研究では, 嗅神経経路を調べるために, 組織学的解析やトランスジェニック動物モデルを用いてきた. 実験動物として主にマウスにおける嗅神経地図が検討されてきたが, ヒトにおける嗅神経地図は未解明である. 本研究では, 高磁場磁気共鳴画像法と拡散テンソルトラクトグラフィーを用いて, 嗅神経細胞の3次元構造を維持したまま嗅神経を可視化できることを実証した. この手法により, 鼻腔の嗅上皮から頭蓋内の嗅球への嗅神経投射を解析し, ヒト, マーモセット, マウスにおける嗅神経地図を可視化して作製することに成功した. この嗅神経地図より, 3種とも嗅上皮と嗅球の間で, 背側-腹側軸, 内側-外側軸に沿った空間的相関性が保存されていることが明らかになった. また, マウスでは嗅神経の多くが鼻甲介側に分布していたのに対し, マーモセットとヒトでは鼻中隔側と鼻甲介側で同等程度の嗅神経分布があり,鼻中隔側の嗅神経が嗅球内側に, 鼻甲介側の嗅神経が嗅球外側に投射することが分かった. マーモセットはマウスに比べてヒトの鼻腔構造にきわめて類似しており, 本研究からも, 嗅覚研究の動物モデルとして相応しいことが示された. さらに, 鼻副鼻腔疾患術後のヒト検体では描出された神経長が健常ヒト検体よりも短く, 嗅神経障害の評価手法として有用であることが示唆された. 本手法をさらに発展させることで, 嗅覚障害の診断を容易にするための臨床応用ができる可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
MRI撮影機の故障
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Strategy for Future Research Activity |
撮影結果を解析し、論文報告を行う。
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Causes of Carryover |
MRI撮影機故障により研究が遅延したため、次年度まで研究期間を延長する。
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