2022 Fiscal Year Research-status Report
スギ花粉症舌下免疫療法に対するCX3CR1を指標としたバイオマーカーの開発
Project/Area Number |
21K09571
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
濱田 聡子 関西医科大学, 医学部, 講師 (00368250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 晃 関西医科大学, 医学部, 教授 (70375244)
岩井 大 関西医科大学, 医学部, 教授 (10232638)
小林 良樹 関西医科大学, 医学部, 講師 (10375298)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 舌下免疫療法 / CX3CR1 / バイオマーカー / スギ花粉症 |
Outline of Annual Research Achievements |
スギ花粉舌下免疫療法(以下SLIT)は、スギ抗原製剤を毎日舌下に投与し、免疫寛容を誘導する治療法でスギ花粉症患者が増加する中で期待される治療である。しかし、その効果判定には2年を要し、患者の20-30%にSLIT治療抵抗症例が認められる。そこで、早期に有効群と無効群の識別を判定することができるバイオマーカーの開発が急務となっている。有効群と無効群の差異を反映する特異的なバイオマーカーが明らかになれば、スギSLIT抵抗症例に効果のない治療を行う必要性がなくなり、スギSLIT抵抗症例のメカニズム解析にも寄与することも期待される。 報告者らは、アレルギー疾患のバイオマーカーとしてCX3CR1とそのリガンドであるフラクタルカイン(CX3CL1)に注目し研究を継続している。本研究では、動物実験においてアレルギー疾患のバイオマーカーとして報告されているCD4+T細胞に発現するCX3CR1に注目し、スギSLIT無効症例に対するバイオマーカーの臨床応用を目指している。 関西医科大学香里病院を受診したスギ花粉症患者14名に対し、スギ花粉SLITを導入し、治療効果の評価を行った。具体的には、スギ花粉飛散期、非飛散期の測定ポイントで患者の末梢血を採取し、末血好酸球数、およびフローサイトメトリーを用いてCD4+T細胞におけるCX3CR1の発現を測定し、さらにSLITの効果を反映する指標の一つであるTregの発現も測定した。また、血清より血清総IgE値、スギ抗原特異的IgE値、IgG4値の変動を測定し、さらに、スギ花粉飛散期に鼻アレルギー診療ガイドラインに従って、患者の自覚症状や、QOLを調査し、治療前後で比較して有効性との関連を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年7~8月に関西医科大学香里病院を受診したスギ花粉症患者14名(スギ特異的IgE抗体がclass2以上、本研究の内容を理解し同意を得られた患者(承認番号 2019304))に対し、スギSLITを導入し、治療効果の評価を行った。具体的には、2022年度、2023年度のスギ花粉飛散期、非飛散期の測定ポイントで患者の末梢血を採取し、フローサイトメトリーを用いてCD4+T細胞におけるCX3CR1の発現量、およびSLITの効果を反映する指標の一つであるTregの発現を測定し、さらに、末血好酸球数、血清より総IgE値、スギ抗原特異的IgE値、スギ抗原特異的IgG4値を測定した。また、スギ花粉飛散期に鼻アレルギー診療ガイドラインに従って、患者の鼻汁、鼻閉、くしゃみ、生活の支障度なのど自覚症状や、JRQLQ調査票NO1を用いてQOLを調査し、治療前後での有効性と検査結果の関連を調査している。
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Strategy for Future Research Activity |
スギ花粉舌下免疫療法を2年施行した患者の2023年のスギ花粉飛散期の患者の臨床症状を、鼻アレルギー診療ガイドラインに従って鼻汁、鼻閉、くしゃみ、生活の支障度など自覚症状を調査し、加えて重症度、総合鼻症状薬物スコアを測定する。また、JRQLQ調査票NO1を用いてQOLの調査もおこなう。そして、治療前後の改善度を測定し、有効群と無効群に分別する。 さらに、測定したCD4+T細胞におけるCX3CR1の発現量、末血好酸球数、血清の総IgE値、スギ抗原特異的IgE値、スギ抗原特異的IgG4値、SLITの効果を反映する指標の一つであるTregの発現の解析データと、有効群、無効群のデータの関連を検証し、スギSLITに対するCX3CR1のバイオマーカーとしての可能性を探索する。
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Causes of Carryover |
実験計画は順調に進んでいるが、コロナ禍で学会がオンライン開催になり出張費が当初の予定より減額したため、来年度の人件費や論文投稿費に使用予定である。
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