2021 Fiscal Year Research-status Report
最適治療法確立のための遺伝的・疫学的細分アプローチによる突発性難聴の病態解明
Project/Area Number |
21K09580
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鬼頭 良輔 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (80419358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 真一 信州大学, 医学部, 特任教授 (10184996)
西尾 信哉 信州大学, 医学部, 特任講師 (70467166)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 突発性難聴 / 治療アルゴリズム / ゲノムワイド関連解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的の1つは、突発性難聴を病態・病状により細分化し、それに沿った治療アルゴリズムを作成することで、患者ごとに最適な治療法を選択できるようにすることにある。上記目的のために本年度は、以下の2つについて主に実施した。
1)疫学情報をもとに作成した治療アルゴリズムについて、実臨床での適用性を検討し、学会報告した(聴覚医学会 2021)。本報告では、より広く実臨床で適用できるか検討するため、対象には大学病院の突発性難聴患者のみでなく、外来診療が主となる非常勤の関連病院、さらには近隣の開業医で加療された患者を含めた。結果、治療アルゴリズムに準拠して治療が行われた症例が85例(67%)で、逸脱した症例が42例(33%)との結果であった。治療アルゴリズムの逸脱に関連する要因について検討したところ、めまいあり、2次治療例、Grade3以上の重症例ではアルゴリズムからの逸脱が多い結果であり、特にGrade3では75.8%の症例が逸脱していた。逸脱の理由としては、「Grade3以上の症例で、初期治療としてステロイド内服治療の選択」が25例と最多であった。1次治療例に限れば、79%の症例でアルゴリズムに準拠していた。治療効果については、アルゴリズム準拠の群では著明回復以上が62.2%であったのに対し、逸脱群では39.0%と有意差をもって準拠群で良好であった。以上より、現状のアルゴリズムは、特に1次治療では適用性は良好で、かつ準拠した場合の治療成績は比較的良好であることが示された。今後は本アルゴリズムを発展させて、病態により治療細分化を図ることを検討している。
2)遺伝子による病態解析・細分化のための実験準備として、すでに採取された遺伝子サンプルの確認とその臨床情報の整理を行った。令和4年度にはゲノムワイド関連解析を実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲノムワイド関連解析については外部機関への委託を予定しているが、外部機関の選択や受注に関連した手続き、また委託機関側の納期などの関係で、令和3年度に予定していた解析が、令和4年度の実施になってしまっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、既存の遺伝子サンプルを用いてゲノムワイド関連解析を行い、臨床データと照らし合わせて、遺伝子(多型)の情報による、突発性難聴の病態別細分化を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
ゲノムワイド関連解析のための予算を計上し、外部機関への委託を予定していたが、外部機関の選択や受注に関連した手続き、また委託機関側の納期などの関係で、令和3年度に予定していた解析が、令和4年度の実施になってしまったため、次年度使用額が生じた。
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