2023 Fiscal Year Research-status Report
シスプラチン難聴予防薬剤の臨床応用に向けた内耳障害予防と抗腫瘍効果の比較検討
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21K09586
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
荒井 康裕 横浜市立大学, 医学部, 講師 (90614818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 大佑 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10620990)
内山 唯史 横浜市立大学, 医学部, 言語聴覚士 (10868962)
水足 邦雄 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科, 講師 (40338140)
高田 顕太郎 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (50898020)
百束 紘 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (80712794)
折舘 伸彦 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90312355)
和田 昂 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 助教 (90838129)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コルチ器 / 器管培養 / confocal microscope / 免疫染色 / 内耳 / シスプラチン |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、昨年度に実験1の器官培養コルチ器へのシスプラチン投与に対する内耳有毛細胞保護効果の検討のうち、コルチ器の器官培養およびLEICAレーザー顕微鏡にて観察を行い、器管培養が行われていることを確認できたので、引き続き技術の向上のため解剖を継続した。また、昨年度に指摘濃度と判断した30μmol/L CDDPの有毛細胞障害に対して、実験1-2) 有毛細胞保護効果のある候補薬剤として、新規候補であるβヒドロキシ酪酸およびアミノグリコシドによる有毛細胞障害にたいして保護作用の確認されている半夏瀉心湯を用いて実験を行なった。βヒドロキシ酪酸については、1,10,100μMと濃度勾配をつけて30uMCDDP単剤群と比較して、有毛細胞および螺旋神経ともに保護効果を認めなかった。βヒドロキシ酪酸については、CDDP腎障害については腎機能保護効果が報告されているが、器管培養コルチ器におけるシスプラチン投与においては明らかな保護効果を示さないと考えられた。今後、対象数を増やして結論づける。半夏瀉心湯については、1,10,100μMと濃度勾配をつけて30uMCDDP単剤群と比較した。螺旋神経においては、あきらかな内耳保護効果をみとめなかったが、有毛細胞については10,100μMにおいて単剤群と有意差をもって保存されていた。今後、TJ-14の抗酸化効果などについての検討および抗腫瘍効果への影響の検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度および2年度に基本実験手技である器管培養およびconfocal microscopeによる観察の手技の安定性習得に時間がかかったため。今年度に、シスプラチンの至適濃度の決定、候補薬剤の選定まですすんだが、次年度は、実験3である抗腫瘍効果への影響について行う予定だが、今年度実施予定であった候補薬剤におけるin vivoでのシスプラチン投与における内耳細胞に対する保護効果および難聴予防効果の検討については実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度においては、実験1ー3)組織学的評価・比較を行う。cleaved caspase-3の免疫染色により細胞死の検討を、8-OHdGの免疫染色により活性酸素種(ROS)の発生状況の比較を、ミトコンドリア膜電位評価が可能な色素MitoTracker Red CMXRosを用いてミトコンドリア障害レベルの比較をそれぞれ行う。 また、同時に実験3として、半夏瀉心湯の抗腫瘍効果への影響の検証を行う。当初、in vivoでの実験予定であったが、扁平上皮癌細胞株であるHSCHSC3、WST8を用いて評価をおこなう。実験1および3の結果にて学会での報告および論文発表を行う。実験2の候補薬剤におけるin vivoでのシスプラチン投与における内耳細胞に対する保護効果および難聴予防効果の検討については、実験3終了後にできる限り行う。
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Causes of Carryover |
主な費用は実験用動物、試薬、実験器具、薬剤となり次年度も継続して行なうため。
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