2023 Fiscal Year Annual Research Report
再発転移頭頸部癌に対する免疫チェックポイント阻害療法が腫瘍関連B細胞に与える影響
Project/Area Number |
21K09595
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
小松 誠和 久留米大学, 医学部, 准教授 (50343687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 剛治 久留米大学, 医学部, 准教授 (70449916)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニボルマブ / プラチナ抵抗性再発転移頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、PD-1を標的分子とした抗体製剤「ニボルマブ」がプラチナ抵抗性再発転移頭頸部癌に対し奏功するということで治療に用いられているが、その奏功率は20-30%に留まっている。本研究では奏功率改善の手がかりを得るために、プラチナ抵抗性再発転移頭頸部癌に対するニボルマブ加療がB細胞や関連する抗体・サイトカインなどに与える影響の解析を行なった。細胞表面マーカーの解析では、B細胞(CD19陽性、CD20陽性細胞)の末梢血単核球における存在割合について当初検討を行ったが臨床効果との関連性は認められなかった。さらに、B細胞分化マーカーのCD10、CD27などについても追加検討を行なったが、臨床効果との関連性は認められなかった。しかしながら、次に腫瘍抗原のNY-ESO-1に対する抗体量をニボルマブ投与前後において比較したところ、NY-ESO-1に対する抗体が高値を示す群は無増悪生存期間(PFS)が短い傾向にあった。NY-ESO-1に対する抗体の産生はニボルマブによるPFSの延長に関して負の相関にあると考えられた。また、抗体のみならず種々のサイトカインについても検討を行なった。抑制性サイトカインの一種であるインターロイキン-10(IL-10)は増悪症例(PD)において投与前よりも投与後に増加する傾向を示した。一方、炎症性サイトカインの一種である腫瘍壊死因子(TNF-α)は部分著効症例(PR)において投与前よりも投与後に減少する傾向を示した。いくつかのサイトカインについて追加で解析したが臨床効果と関連するものはなかった。以上より体液性免疫応答が優位となることや炎症性サイトカインや抑制性サイトカインが増加することが臨床効果と関連していることがわかった。しかしながら、B細胞の数や組成などについては臨床効果への影響が認められず新たなマーカーの探索が必要であると考えられた。
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