2022 Fiscal Year Research-status Report
エクソソーム解析による頭頸部癌の転移能に関するバイオマーカーの探索と予後との関連
Project/Area Number |
21K09607
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
星川 広史 香川大学, 医学部, 教授 (70294767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寒川 泰 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10806920)
大内 陽平 香川大学, 医学部, 協力研究員 (50795573)
森 照茂 香川大学, 医学部, 助教 (80568840)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | エクソソーム / 転移 / バイオマーカー / 頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部癌培養細胞において、Allose奏効群ではTXNIPのmRNA発現が著明に増強し、CXCR4の発現が抑制された(Allose50mM投与48時間後 HSC3:TXNIP 132倍、CXCR4 0.1倍, Ca9-22: TXNIP 289倍、CXCR4 0.71倍、Allose50mM投与12時間後 HSC3-M3:TXNIP 11倍、CXCR4 0.23倍)。Allose無効群ではAllose投与によりTXNIPのmRNA発現はやや増強したが、CXCR4の発現も増強した (HSC4: TXNIP 11倍、CXCR4 1.91倍)。 頭頸部癌においてエクソソーム中のCXCR4, CXCL12の存在を同定し、それらが癌の転移にどのように関与しているかを検証するために、①メンブレンにエクソソームを吸着させ溶出させる方法(exoEasy Maxi Kit)でCa9-22細胞のエクソソームを抽出、RNAを精製し、realtime PCRでTXNIP, CXCR4, CXCL12を検討したが、mRNAの増幅は観察されなかった。そこで、超遠心法を用いてエクソソームの抽出を依頼、結果HSC3, HSC4, KONの3種類の細胞上清から4.47E+10~1.32E+11(particles/ml)の細胞外小胞を得た。その試料を用いてexoRNAEasy Maxi Kitで total RNAを抽出した。結果、HSC4からはcontrol, Allose投与群いずれからもRNAが抽出できたが、HSC3, KONからはAllose投与群からはRNAが得られなかった。HSC4から得られたRNAからCXCR4, CXCL12の増幅を検討したが、以前のCa9-22と同様にcontrol, Allose投与群のいずれからもmRNAの増幅は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
様々な抽出方法で細胞上清からエクソソームの抽出を試みたが、最も一般的な超遠心法で抽出を外部に依頼した試料からも目的としたmRNAの増幅が観察されなかった。この結果からはCXCR4-CXCL12の系がエクソソームを介して転移に関与しているとは言えない結果であった。しかしながら、エクソソームの抽出や品質について十分な検体が得られているかがいま一つ不明であるため、培養細胞そのものでのCXCR4-CXCL12の系がどのような意義を有しているかを詳細に検証する必要もあると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに引き続いて、エクソソーム抽出の安定性についての検討を行うと共に、培養細胞そのものでの転移に関するバイオマーカーを詳細に検討し、それを元にエクソソームでの検討を行う必要があると思われる。また、培養細胞では転移についての検証に限界があり、in vivoの系における原発巣、転移巣(肺など)でのCXCR4, CXCL12の発現を検討するとともに、血清からのエクソソームの抽出と分析を行う必要があると考える。
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Causes of Carryover |
前年度の検討で試料の品質や濃度など、再検討を要する事例が生じたため、その原因を分析してから次の検討に進む必要を生じた。そのため、前年度で未使用となった予算を次年度に使用する手続きを行った。
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