2023 Fiscal Year Annual Research Report
鼻副鼻腔原発の粘膜型悪性黒色腫の免疫ゲノム解析および重粒子線の影響解明
Project/Area Number |
21K09625
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
花澤 豊行 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90272327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪爪 隆史 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (80334853)
冨樫 庸介 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ 細胞治療開発研究部, 客員研究員 (80758326)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / 腫瘍浸潤リンパ球 / 免疫チェックポイント阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
鼻副鼻腔に生じる粘膜型悪性黒色腫の5年生存率はおよそ30%と極めて予後不良の疾患である。治療の主体は、腫瘍の拡大切除と術後放射線療法であるが、申請者らの施設では重粒子線治療を組み合わせることで、極めて良好な局所制御率を示している。しかし遠隔転移は多く、如何に遠隔転移を制御できるかが大きな課題である。免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場し期待は大きかったが、本疾患に対する奏効率は単剤では15%程度と報告され、十分な効果が得られておらず、新たな治療開発が急務と考えている。腫瘍細胞は、主に細胞表面に発現したMHC-I上に提示された抗原をCD8陽性T細胞が認識することで殺傷される。MHC-Iの発現にはIFNγシグナルが重要とされ、重粒子線治療もMHC-Iの発現を上昇させるということが知られているが、詳細は不明である。そこで、申請者らが樹立した患者由来悪性黒色腫細胞株およびマウスモデルを使用して、MHC-Iの発現に関わるシグナルについて解析し、MHC-Iを上昇させ得る重粒子線治療とICIの併用療法といった新たな治療開発に繋げることを目的に研究を行った。 腫瘍細胞上のMHC-Iの発現においては、IFNγシグナルが重要とされて来たが、細胞株の中にはIFNγシグナルに依存せずにMHC-Iの発現が上昇しているものが存在した。IFNγシグナルが欠落すると一般的にはICIに抵抗性を示すようになると考えられてきたが、IFNγシグナル非依存的にMHC-I発現が見られる場合には、ICIが有効であった。さらに、CRISPRスクリーニングでは、PI3K/Aktシグナルとその下流のNF-κBシグナルが、IFNγシグナルの代替経路としてMHC-Iの発現を上昇させる可能性が示唆された。今後、MHC-Iを上昇させ得る重粒子線治療でこれらの経路を重点的に調べ、ICIとの併用療法が有用であるかを検証していく。
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Research Products
(3 results)