2021 Fiscal Year Research-status Report
PLOD2-インテグリン水酸化反応に基づく癌転移抑制デコイペプチドの開発
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21K09626
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70426584)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、口腔・頭頸部癌を対象とするPLOD2活性阻害ペプチドを作製し、細胞およびCDXモデルマウス用いた浸潤・転移抑制、抗腫瘍効果(薬剤感受性)、副作用、分子機序等の解析により、ペプチド創薬開発の基盤を確立する。 令和3年度は、PLOD2阻害活性を発揮するペプチド配列の最適化を実施した。5uM濃度の同ペプチドは、口腔癌細胞の移動性とPLOD2-Integrin beta-1経路を抑制することが判明し、さらに低濃度で効果的にPLDO2を阻害するペプチド配列のデザインを検討した。具体的には、(1)細胞内安定化を考慮し、エフェクター部位のペプチド配列を8アミノ酸から11アミノ酸へ伸長。(2)小胞体移行の確認。(3)酵素・基質親和性の確認。から効果的な阻害ペプチド配列を検討した。 結果として、8アミノ酸から構成されるペプチドと11アミノ酸のペプチドによる細胞増殖抑制効果に大きな違いは得られなかった。2つのペプチドは、リソソームを経由して24時間後に小胞体に局在することが確認できたが、小胞体マーカーと共局在するペプチドが少ないと思われた。また、1uM濃度のペプチドによる細胞増殖抑制アッセイでは、24時間後にペプチドを追加することで、5uMで観察された増殖抑制と同程度の効果が得られた。これらのことから、目標とする1uM以下の同ペプチドの阻害活性を得るには、細胞内での同ペプチドの安定性と標的とする小胞体(PLOD2の局在場所)への移行を改善する必要がある。一方で、薬剤(シスプラチン)との併用により、薬剤感受性を大きく亢進させる結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PLOD2阻害ペプチドの細胞内での性質について判明し、具体的な問題点と改良点を示唆する結果が得られた。また、ペプチドと薬剤の併用による細胞移動抑制および増殖抑制の効果が得られた点で新しい創薬の応用へ期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの問題点であるペプチドの細胞内安定性と局在を改善し、さらに口腔・頭頸部癌細胞へデリバリーするための細胞特異的透過ペプチド(CPP)を単離する。また、PLOD2の発現が最も多い骨肉腫も同時に研究対象とし、骨肉腫へデリバリーするCPPも単離し、PLOD2阻害ペプチドによる抗腫瘍効果も検討する。
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