2021 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of the disease concept of laryngeal sarcopenia based on the estimation of the laryngeal muscular force using kinematics
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21K09630
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 真 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (80403179)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 呼気努力 / 腹腔内圧 / 胸腔内圧 / 音圧レベル / 皮膚加速度レベル |
Outline of Annual Research Achievements |
予備実験として、第一に、消化管マノメトリーを用いた大声発声時の呼気努力の計測方法の確立を目指し、15例の健常人に消化管マノメトリーを挿入して4つの圧センサーを、胃内、胸部食道内。頚部食道内、下咽頭に留置し、マイクロフォンおよび加速度計で音圧・頸部皮膚加速度レベルを測定しながら、母音発声医中に声を徐々に大きくしていく母音クレシェンド発声を施行してもらい、データの記録を行った。その結果、徐々に音圧の増大が認められた成功例と、増大が乏しいタイプ、急激に増大した失敗例に分類された。また胃・食道の蠕動、あるいは声帯振動の影響と考えられる揺れの混入が半数のサンプルに認められた。また成功サンプルにおいては、胃内圧は陽圧のままで、胸部食道内圧は陰圧から陽圧にかけて経時的に増大した。また頚部食道内圧もまた軽度陰圧から陽圧にかけて経時的に増大しており、このことは頸部食道内圧が声門下圧・頸部気管内圧を反映していないことを意味する。結果として、消化管マノメトリーを用いて腹腔内圧・胸腔内圧を測定することで呼気努力を評価可能と考えられた。第二に、口唇付近のマイクロフォンと頸部加速度計を用いて、発声中の連続的な口唇の形の変化、およびクレシェンド発声、反復母音発声を施行させて、音圧レベルと頸部皮膚加速度レベルを同時計測し、両者の相関性を解析した結果、音圧レベルは発声時の口の形に依存するが、頸部皮膚加速度レベルは依存しないこと、クレシェンド発声は、反復母音発声よりも、両者の相関性が高くなることが明らかとなった。さらに頸部前屈・後屈、通常頭位、および加速度計の左右の頸部皮膚を外側・内側に移動させてでクレシェンド発声を行うと、加速度レベルが変化することが明らかとなった。これは皮膚の緊張度により皮膚のインピーダンスが変化することによるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
発声機能検査装置の購入に関して、永島医科器械製造、あるいはミナト医科学製造のいずれにするのか、機器のデモを行ってから選択する予定であったが、2021年5月の新型コロナウイルス感染蔓延のため緊急事態宣言となってデモができず、結果2021年10月にようやく永島医科器械製造のPS-3000に決定し、注文を行った。しかしながら受注生産であったため、2022年1月に機器が完成した。その後研究代表者の転勤があり、2022年4月に新職場である大阪市立総合医療センターに機器を設置することができた。これから測定の条件設定を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
大阪市立総合医療センターにおいて、倫理委員会に本研究の申請書を提出し、同時に発声機能検査装置、および消化管マノメトリーを用いて、最長発声持続とクレシェンド発声の2種類のタスクを用いて、同時測定の条件設定を行う。その後に、外来を受診する声帯萎縮を有する患者、および健常人を募集して、上記の2つの発声時、および咳払い時の空気力学的変数、音圧レベルに加え、のデータを記録し、握力、体重、体脂肪率など計測し、声帯萎縮症例については、血液検査も施行する。 大阪市立総合医療センターにおいては喉頭の高速度撮影は困難であるため、高速度画像の解析が施行できない。従って、通常のビデオスコープで喉頭運動を記録し、画像より、声帯間最大開大時より正中位で接触するまでの時間より声帯内転速度を算出することで対応する。
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Causes of Carryover |
発声機能検査装置PS-3000が予定よりも高額であったため、 次年度より12000円を請求し、使用した。金額は12000円と少額であり、論文校正費用との間で調整可能である。
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Research Products
(3 results)