2023 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of the disease concept of laryngeal sarcopenia based on the estimation of the laryngeal muscular force using kinematics
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21K09630
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 真 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (80403179)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 喉頭 / サルコペニア / 発声 / 咳払い / 消化管内圧検査 / 音圧レベル / 平均呼気流率 / 声帯萎縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、喉頭サルコペニアの疾患概念を確立するために、60歳未満の健常者、および75歳以上の高齢者を対象にして、発声時/咳払い時の音圧レベル・声門下圧・平均呼吸流率・胸部食道内圧・胃内圧を同時測定し、内視鏡下喉頭画像の声帯萎縮の程度、内視鏡画像上の声帯内転角速度・加速度、および、身体計測値との間の関連性を検討することである。最初に予備実験として、健常者を被験者として、上記の変数の同時記録を行うための条件設定を行い、その後に、耳鼻咽喉科スタッフ、および耳鼻咽喉科外来受診者より募った高齢者より、データ記録を行う予定であった。今回新たに購入した発声機能検査装置(永島医科器械、PS3000)を用いて、健常被験者5人に、声を徐々に大きくしていくクレシェンドタスクを施行させ、音圧レベル・平均呼気流率を同時、かつ連続的に評価できることを確認し、次に、健常者15例を対象に、5回ずつのクレシェンド発声タスクを行わせた際の発声機能検査装置と消化管内圧計の同時記録にも成功した。結果の評価に関して、音圧レベルの漸増、80dBSPL以上の十分な増大、15dBSPL以上の増加の3条件を満たした場合を「成功」、急激な増大、不十分な増大、不整な増大を「失敗」と定義して判定したところ、健常者であるにもかかわらず、約50%のサンプルが失敗と判定された。また成功と判定されたサンプル胃内圧の変動パターンが多様であり、個人内、個人間の差違が大きかったため、高齢者を対象としてのクレシェンドタスクを用いての評価は困難と考えられた。これらを踏まえて、今後は、soft/moderate/loudの3段階の強さの持続母音発声を採用に変更することを決定した。COVID-19大流行、研究代表者の異動、および発声タスクの条件設定のために研究の進行に大幅な遅れを来してため、本科研費課題の研究期間を1年延長した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年3月より始まったCOVID-19大流行の影響で音声機能検査機器の学会展示の機会がなく、また製造メーカーで機器の製造に大幅な遅れが生じたため、2022年1月にようやく発声機能検査装置が納入された。また2022年4月に研究代表者が異動となり、共同研究者であった言語聴覚士のサポートが得られなくなった。また新勤務先では、COVID-19流行の影響で、大声発声のタスクの施行、声帯間角速度評価のための内視鏡検査は、感染を誘発する危険性があるため施行を禁止され、2022年11月にようやく記録の条件設定のための予備実験を、大阪大学で行うことができた。その後、耳鼻咽喉科外来の診療では、個人防護具のフルを着用すること、大声発声を行う発声機能検査装置の使用は、密閉された防音室で、計測者は個人防護具のフル着用してことが義務づけられ、対象者の同意は到底得られず、研究を中断せざるをえなかった。しかしながら、2023年5月のCOVID-19の5類移行以降制限が緩和され、防護服が不要となった。また新勤務先の臨床研究に関する倫理委員会において、臨床研究における機器・薬剤の目的外使用が禁止されているために、呼吸努力の評価のために消化管内圧計を使用することに関して、やや難色を示されたことがあり、まだ倫理委員会で認可を許可されていない状態である。以前、大阪大学の倫理委員会では認可されており、既に論文も出版しているため、さらに難航するようであれば、大阪大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科において研究を遂行することも考慮している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)健常者においても、クレシェンド発声タスク施行時の胃内圧の変動パターンが多様であり、同一個人内、および個人間での差違が大きいため、このまま高齢者で同様に評価することは困難と考えられた。従って、クレシェンドタスクより、soft/moderate/loudの3種類の強さの持続母音発声というタスクに変更する。 2)異動後の大阪市立総合医療センターでの臨床研究の倫理委員会の認可に難航するようであれば、大阪大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科において研究を施行する。
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Causes of Carryover |
COVID-19大流行、研究責任者の異動、発声タスクの変更などの理由で、研究の進行に大幅な遅れが生じ、健常者に支払う研究参加への謝礼の支出が発生しなかったため。
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Research Products
(1 results)