2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of laryngeal papilloma formation
Project/Area Number |
21K09635
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
池上 太郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00754409)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 喉頭乳頭腫 / HPV-6 / HPV-11 / E4抗体 / ヒトパピローマウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
HPV-6およびHPV-11は9つのウイルス遺伝子を持つが、各遺伝子の発現量などの基礎的知見がなく、乳頭腫形成におけるHPVの挙動は不明であった。これまで研究代表者は、HPV-6感染・喉頭乳頭腫において、E4、E5aおよびE5bが全ウイルス遺伝子の発現の96%を占めていることを発見した。さらに最も発現していたE4に関しては抗HPV-6E4抗体をファージディスプレイ法により開発し、免疫染色によりHPV-6 E4がタンパク質として発現していることも明らかにしてきた。今年度は、HPV-11に焦点を当て、ウイルスDNA量、9つの遺伝子発現量をリアルタイムPCR法で調べた。さらに腫瘍内におけるウイルスDNAの分布をDNA in situ hybridization (ISH)法で、ウイルスmRNA発現の分布をRNA ISH法で調べた。その結果、ウイルスDNA量およびmRNAの発現量は感染する部位によって異なっていることが明らかとなった:ウイルスDNA量およびmRNA発現量は声帯で最も高く、つづいて下咽頭後壁、喉頭蓋という結果であった。ウイルスmRNA量は、HPV-6と同様にE4、E5aおよびE5bが最も発現していた。ウイルスDNAおよびウイルスmRNAの腫瘍内における分布もHPV-6とよく一致していた。さらに最も発現していたE4については、ウサギに免疫をして、抗HPV-11 E4抗体も作製し、免疫染色を行った。作製した抗体はHPV-6には交差せずに特異的にHPV-11E4のみを染色できた。以上の結果により、喉頭乳頭腫においてHPV-6、HPV-11どちらにおいてもE4、E5aおよびE5bが重要な働きをしていることが示唆された。また感染部位によりウイルスDNA量やmRNA発現量が異なっており、感染のしやすさ、ウイルスのクリアランスのされ方に違いがあることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定より1年早く、HPV-11E4に対する抗体の作製に成功し、その成果を論文にまとめることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞株を用いて、HPVの各遺伝子の機能を明らかにして行く予定である。
|
Causes of Carryover |
国際会議に出席するため旅費を計上していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により出席ができなくなり、残予算が生じた。繰越した分は、次年度に行う解析の試薬代にあてる予定である。
|
Research Products
(9 results)