2021 Fiscal Year Research-status Report
サイトカイン網羅的解析による好酸球性中耳炎病態の解明
Project/Area Number |
21K09639
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
高橋 優宏 国際医療福祉大学, 医学部, 准教授 (50315800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 光博 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60304359)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 好酸球性中耳炎 / サイトカイン / PGE2 |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性中耳炎は、好酸球の活性化やムチン産生あるいはIgE産生などの2型 (Type2)炎症反応の誘導および遷延化を特徴とする炎症疾患である。好酸球性中耳炎は進行性の重度難聴に至る症例もある難治性疾患である。本疾患では、局所に浸潤した好酸球が病態形成に深く関与していると考えられるが、血中の好酸球が消退する抗IL-5受容体抗体を投与しても治癒に至る例は一部であるなど、その病態は十分に解明されていない。類縁疾患である好酸球性副鼻腔炎では、Th2細胞や2型自然リンパ球(ILC2)などから産生されるIL-4、IL-5、IL-13などの2型サイトカインが病態の発現や維持に寄与することは知見が得られており、サイトカインmRNA量を網羅的に解析するマイクロプレートアレイを使用し好酸球性中耳炎粘膜および正常中耳粘膜症例(人工内耳植込み術症例)における2型サイトカイン、2型サイトカイン受容体、PGE2、PGE2受容体の解析を行い、臨床的意義の検討を行う。
好酸球性中耳炎症例5例および対照患者5例の中耳粘膜採取を施行した。好酸球性中耳炎は鼓膜穿孔部から、また対照患者は人工内耳植込み症例の手術中に採取している。中耳粘膜をRNA laterに保存した後にmRNAを抽出した。2型サイトカインおよび受容体、PGE2および受容体を含むマイクロアレイプレート(IL-4、IL-4Rα、IL-5、IL-5R、IL-13、COX-1、COX-2、m-PGES-1、EP1、EP2、EP3、EP4など29種類)を利用し、組織に発現するmRNA量を網羅的に定量する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究登録症例数は順調に増えている。 また実験施設についても備品(CO2インキュベータ)、消耗品(RNAlater)の購入も完了し、mRNAの抽出を開始している。 現在、共同研究者とマイクロアレイプレートによる解析準備に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
対照患者数は順調に伸びることが予測されているが、好酸球性中耳炎症例数は頭打ちになることが危惧される。好酸球性中耳炎症例増加のために共同研究者と協力し外来患者抽出を院内および関連施設(成田病院)にて施行し、患者リクルートをさらに進める。 今年度はさらにマイクロアレイプレートによる抽出したmRNA解析を開始する。
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Causes of Carryover |
RNA laterからのmRNA抽出が年度末となり、マイクロアレイプレートによるmRNA解析開始が次年度に延期になったため。 繰越となった金額115764円は今年度助成金と合算しマイクロアレイmRNA解析に加えて、その成果の学会発表を行う予定である。
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