2023 Fiscal Year Annual Research Report
NKT細胞免疫系アプローチを用いたアレルギー性鼻炎に対するワクチン療法の開発
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21K09650
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
米倉 修二 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (20400939)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / 舌下免疫療法 / アジュバンド |
Outline of Annual Research Achievements |
NKT 細胞はT 細胞受容体とNK 細胞受容体を発現しているユニークな細胞である。糖脂質の一つであるα-GalCerをアレルギー性鼻炎モデルマウスの口腔底に投与し、所属リンパ節におけるNKT 細胞を活性化させて鼻炎症状の変化を検討する実験モデルを確立しており、より即時的で強力に作用する新たな免疫療法の開発を目指した。これまでは、in vitro で培養・誘導した骨髄由来樹状細胞(bone marrow-derived:BMDC)に抗原(Ovalbumin)およびα-GalCer を提示させたものを、抗原感作しておいたマウスの口腔粘膜下に投与すると、その後の点鼻challenge で誘導される鼻症状が有意に抑制されることを報告したが、実際のヒトへの応用を考えた際にコスト、技術、侵襲の点から実現が難しいと考えられた。抗原とα-GalCerをそのまま口腔底に投与することが理想的であるが、α-GalCerは水に溶けにくく口腔底粘膜の樹状細胞に捕獲されにくいという性質がある。その不利な性質を補うためにα-GalCerをナノ粒子化し、それを含有したフィルム製剤が開発された。本研究ではそのフィルムを用いたマウスの動物実験を行った。開発した新しいフィルムとOVAを同時に舌下投与した群における頸部リンパ節でのNKT細胞の誘導は、Vα14の発現上昇からは成功していると考えられた。また、IL-5の発現低下は好酸球性炎症の抑制に、IFN-γの発現上昇はTh1/Th2バランスの是正に寄与していることが示唆された。IL-4、IL-13の発現では新フィルム介入の効果は不明であった。今回の検討で、プラセボを用いたコントロール群と比較して症状の抑制が明らかでなかったことは今後の課題と言える。症状の発現強度を変えたモデルマウスを作成するなど、さらなる検討が必要であると考えられた。
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