2021 Fiscal Year Research-status Report
再発転移頭頸部癌に対する近赤外光線免疫療法症例におけるバイオマーカー探索研究
Project/Area Number |
21K09652
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
朝蔭 孝宏 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50361481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 滋 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10303827)
森田 圭一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (10396971)
辻川 敬裕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80713916)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 再発転移頭頸部癌 / 光免疫療法 / 遺伝子解析 / 多重免疫染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年9月に条件付き早期承認制度により、再発転移頭頸部癌に対する光免疫療法が世界に先駆けて認可された。本治療は必ずしもすべての患者に有効な訳ではなく、どのような患者に効果があるかを予測するためのバイオマーカーの同定が急務となっている。そこで患者検体を用いて、次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析と多重免疫染色を用いた腫瘍微小環境検索を行うことによって、有効例の特徴を明らかにすることを目的として研究を進めることとした。 本治療は特殊な色素とモノクローナル抗体の化合物と近赤外光を用いた細胞特異的な治療法である。具体的には、頭頸部癌で高頻度で発現している上皮成長因子受容体(EGFR)に対するモノクローナル抗体であるセツキシマブにフタロシアニン系色素であるIRDye700DX(IR700)を結合させた薬剤を経静脈的に投与し、その翌日にレーザーを用いて690 nmの光を病変に照射する。照射された光によって、色素が親水性から疎水性へ変化し、標的にした細胞の細胞膜が破れ、その細胞が破壊されると考えられている。 まずは当院の倫理審査申請を行い、承認を得た。現在、共同研究施設である京都府立医大でも倫理申請を行なっている最中である。 光免疫療法の適応は極めて厳密であるため、この1年間で実際に本治療を施行できたのは、1例に対して2回施行したのみである。本症例は70歳代の男性で下咽頭癌局所再発の患者であった。下咽頭癌に対して咽頭喉頭全摘および遊離空腸移植術後、放射線治療後の中咽頭後壁の再発であり、手術不能と判断した。また、禁忌である大血管との接触が無いことを画像検査にて確認して、光免疫療法の適応と判断した。1回目施行時に生検を行い、検体は当院のバイオバンクに保存済みである。ある程度検体が揃ったところで、遺伝子解析、多重免疫染色に着手する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光免疫療法の適応は極めて厳密であるため、この1年間で実際に本治療を施行できたのは、1例に対して2回施行したのみである。1回目施行時に生検を行い、検体は当院のバイオバンクに保存済みである。ある程度検体が揃ったところで、遺伝子解析、多重免疫染色に着手する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように単一施設では症例の集積があまり進まないので、まずは共同研究施設である京都府立医大で光免疫療法を施行した症例も本研究に組み入れることが出来るように、研究計画書を修正して、再度それぞれの施設で修正申請を行う予定である。また、医局の関連施設にも本研究を広く周知して、光免疫療法の適応症例のリクルートを行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響およびもともと光免疫療法の適応が、非常に厳しい基準が設けられているため、症例のリクルートが思うようにすすまなかった。そのため、学会での中間報告、論文化もすすまなかった。 次年度は関連病院などに本研究を周知して、光免疫療法の患者のリクルートを進める予定である。
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