2022 Fiscal Year Research-status Report
霊長類モデル及び患者由来iPS細胞を用いたAlport症候群難聴の病態の解明
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21K09660
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松崎 佐栄子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (70573400)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Alport症候群 / ヒト疾患由来iPS細胞 / 遺伝性難聴 / 進行性感音難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
Alport症候群患者由来iPS細胞を樹立するのに先立ち、Alport症候群9家系の遺伝形式、遺伝子変異、表現型などをまとめ、これまでに発表してきた。今回、検討を行ったAlport症候群9家系は、COL4A4 遺伝子の常染色体優性遺伝1家系、COL4A4 遺伝子の常染色体劣性1家系、COL4A5 遺伝子のX染色体連鎖遺伝7家系であった。遺伝子変異型、遺伝形式に関わらず、出生時には難聴はなく小児期~青年期に難聴が始まり、高音部を中心に緩徐に難聴が進行し、難聴が進む過程で高音部を中心とした谷型となる時期があるなど、Alport症候群の聴力像には共通する部分が見られた。また、50-70歳代まで聴力フォローを行った症例も、重度難聴とはならなかった。COL4A5 遺伝子変異(X染色体連鎖遺伝)の7例のうち、6例が男性症例であり、この6例の男性症例はいずれも腎症状が先に出現し、その後に難 聴が続いていた。これは、COL4A5 遺伝子変異の男性症例のひとつの特徴となる可能性がある。現在、これらの臨床像について英語論文投稿中である。 次年度以降は、各家系発端者及び症状・同一遺伝子変異のある家族から血液を採取し、患者由来iPS細胞を樹立し、内耳細胞への誘導を行う。聴力正常者由来iPS細胞から誘導した内耳細胞と細胞レベルでのストレス耐性や表現型の違いを比較し、本症候群にて難聴を来すメカニズムを解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行により、大学への出入りが制限される時期があったことから、当初の計画よりも進行が遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降、Alport症候群の9家系のうち同意の得られた家系の発端者及び症状・同一遺伝子変異のある家族の血液を採取し、患者由来iPS細胞を樹立し、内耳細胞への誘導を行う。聴力正常者由来iPS細胞から誘導した内耳細胞と細胞レベルでのストレス耐性などを比較する。また、聴力検査や腎症状など臨床像のフォローアップを継続する。
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Causes of Carryover |
研究計画が遅れ、iPS細胞の作製に至らなかったために予定していた資金を使用する必要がなく、次年度使用額が生じた。最終年度で、Alport症候群の患者および健常者の血液からiPS細胞を樹立し、内耳細胞へ誘導し、ストレス耐性などを比較検討するにあたり培養液や試薬などの購入に資金を利用する予定である。
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