2022 Fiscal Year Research-status Report
酸化リン脂質によるぶどう膜炎での網膜細胞障害メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K09680
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
平岡 美紀 北海道医療大学, 予防医療科学センター, 准教授 (80246983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北市 伸義 北海道医療大学, 予防医療科学センター, 教授 (40431366)
南場 研一 北海道大学, 大学病院, 講師 (70333599)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ぶどう膜炎 / 酸化リン脂質 / 網膜障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
眼内炎症であるぶどう膜炎で重篤な炎症があった症例では、炎症がおさまった後でも網膜の障害は不可逆的となり、視機能が回復しない。また、ぶどう膜炎では他の組織と同様に酸化ストレスが生じることが知られている。この酸化ストレスによって生じる酸化リン脂質とぶどう膜炎での網膜障害の関係について、明らかにするのが本研究の目的である。 2022年度の研究計画と実施状況について、以下に記す。 1. 臨床例での網膜障害における酸化リン脂質分布の違いを調べるために、まず、臨床検体を用いて、網膜障害のあるぶどう膜炎群と明らかな網膜障害のないぶどう膜炎群、眼内炎症のない群について、それぞれ採取した硝子体の酸化リン脂質プロファイルを質量分析(LC-MS)にて、本年度は網膜障害の著しい症例のサンプルの分析を行なった。現在、統計解析中である。 2. 酸化リン脂質による網膜障害を培養細胞株を用いて検討した。酸化リン脂質を網膜色素上皮細胞株に添加したところ、濃度依存性に細胞障害が見られた。また細胞内のATPが減少していた。一方、マウスのマクロファージで酸化リン脂質を前処理するとこの細胞障害性は抑制された。このことは、マクロファージによる酸化リン脂質の貪食が組織の細胞障害を防いでいると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床検体の解析はほぼ予定通り進行している。 酸化リン脂質の代謝におけるLPLA2(lysosomal phospholipase A2)の役割を解明するために、LPLA2欠損マウスを使用する予定である。現在繁殖中であるが、繁殖力が他の系統に比べて弱く、時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
・ぶどう膜炎モデル動物に対して、酸化リン脂質の産生を抑制する抗酸化剤を投与した時の酸化リン脂質の分布と病態を調べる。 ・LPLA2欠損マウスを用いて、ぶどう膜炎を誘導した際の酸化リン脂質の変化を比較する。LPLA2が欠損していると酸化リン脂質の分解が遅れて、病状が悪化、あるいは遷延することが予想される。これを組織学的、生化学的に検討する。
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Causes of Carryover |
動物実験について、繁殖が計画より遅くなったため、実験に使用する匹数を確保するのに時間を要した。そのため、2022年度に予定していた動物実験が翌年に繰り越すことになり、研究費用も翌年の動物実験に充てることとなった。
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