2023 Fiscal Year Annual Research Report
軸索再生と再髄鞘化をターゲットとした遺伝子治療による視機能回復の検討
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21K09688
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
郭 暁麗 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 主席研究員 (50443114)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / EAE / ASK1 / ミクログリア / アストロサイト / 遺伝子治療 / 軸索再生 / 神経細胞の保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は2022年度に多発性硬化症のモデルEAEマウスにおいてミクログリアからASK1が特異的に欠損するとその重症度はearly stageから、アストロサイトからASK1が特異的に欠損するとlate stageから症状が軽減することを報告した(Guo et al., PNAS, 2022)。この発見の臨床的な意義を探るため、最終年度は多発性硬化症患者の脳切片を用いてASK1の活性化を検討した。その結果、脱髄が顕著な脳梁部位においてASK1の活性化が見られた。また二重染色によりアストロサイトのASK1がミクログリアのより強く活性化することを見出した(Seki et al., in press)。 一方、EAEマウスへの遺伝子治療においてEAEを惹起する前にPHP.eB-MAG2.2-iTrkB、PHP.eB-MAG2.2-iSH2、PHP.eB-MAG2.2-ERKべクターを投与するとPHP.eB-MAG2.2-iTrkB投与マウスの脊髄炎のみが軽症化することが判明されている。2023年度はEAEマウスが発症した後にPHP.eB-MAG2.2-iTrkBべクターを投与し治療効果がないことを明らかにした。これは成熟したオリゴデントロサイトの再髄鞘化はほぼ不可能であることを示唆している。 また、DOCK3の構造変化を起こす低分子化合物による神経保護と軸索再生を報告した(Namekata et al., Cell Death Discov, 2023)。約46万個の化合物の中から最も有力な化合物を絞り込み、さらに、それに類似した化合物を4種類作製した。これらの化合物を培養した脳神経細胞に投与すると、神経突起が伸長することが確認された。視神経外傷マウスの眼球内にこれらの化合物を注射すると、このうち2種類の化合物では網膜の神経細胞が保護され、また視神経軸索も一部再生することが判明した。
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Remarks |
1.第16回資生堂女性研究者サイエンスグラントを獲得した. 2.東京都医学総合研究所「所内研究発表会(第1部会)」(2023 年11 月22 日開催)で優秀発表者に選出された. 3.2023年3月に、PNAS (2022)の筆頭著者論文に関して、理事長表彰を受賞した.
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