2021 Fiscal Year Research-status Report
視細胞変性のオンセットと進展制御に関わる網膜内炎症環境の時空的な解析
Project/Area Number |
21K09693
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 すみ子 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60240735)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 網膜 / 炎症 / マイクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのv-Rasで同様に活性化されているマイクログリアの状態が網膜内の位置によって変わることから、網膜内の微少な環境がマイクログリアの活性化状態に影響を与えていると言う仮説を立てた。網膜内の局所特異的なタンパク発言を明らかにするために、網膜の特定の領域をレーザーマイクロダイセクション(LMD)で切り出し、LC-MSによるタンパク質の同定を行い、病態の時間軸の進展におけるサイトカイン類の状態のダイナミズムについて4次元的に把握し、そこに不均一性があるのかどうかを検討することを第一の目的とした。このため、LMDで網膜を切り出す手法、どの程度の量をLC-MSによる解析に回すか、またLC-MSでの同定方法の井技術的課題についての検討などを重ねて当初の試みより10倍近いタンパク質の同定に成功した。網膜の細胞種特異的なマーカータンパクの部位特異的な発現を確認することができたため、さらに感度をあげサイトカイン類の同定を試みている。このため、様々な炎症/変性状態の網膜切片を用いて比較検討することを行なっている。またマイクログリアと神経細胞の共培養系の樹立については、プライマリーのマイクログリア、マイクログリアの細胞株の両者を用いて培養の条件の詳細について検討を行った。また視細胞変性の視細胞特異性を検討する上で、ファゴサイトーシスを重要な指標と考えているが、については従来セルソーターを用いて行っていたが、IncyCyteという機器を用いて検討することで、効率が上がったため、様々な条件の検討を行うことが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の重要な技術開発として、網膜の特定の領域をレーザーマイクロダイセクション(LMD)で切り出し、LC-MSによるタンパク質の同定を行い、病態の時間軸の進展におけるサイトカイン類の状態のダイナミズムについて4次元的に把握し、そこに不均一性があるのかどうかを検討するということがあるが、順調に進んでおり、当初より感度がかなり上がり、相当数のタンパクの同定が可能になった。また共培養系の確率もプライマリーからhiPS細胞に変更することで順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、LMD/LC-MSの系である程度のタンパク質の同定が期待されるので、当初の予定どうり、この中から特定の分子に着目し、これを網膜培養系、in vivoの網膜などで遺伝子レベルの増強/減弱を行い、その影響を検討する。また共培養系については、さらに条件を検討し、複数の解析系を立ち上げる。以上、当初申請書に書かれた内容におおむね従って研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、LMD, LC-MSなどが共同利用施設、共同研究先の施設などの利用により、予想より予算を使わずに解析を進めることが可能となった。一方で、次年度は、同定した遺伝子の網膜内での発現操作が中心になると思われ、このためにマウス、細胞等予算がかかる可能性があり、次年度使用することで十分な成果が上がることを期待している。
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Research Products
(1 results)