2022 Fiscal Year Research-status Report
Cellular biological analysis and developmental research of thrapeutic agents on adenoviral ocular infection
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21K09709
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
内尾 英一 福岡大学, 医学部, 教授 (70232840)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アデノウイルス / 結膜炎 / 感染症 / レセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
3D組織モデルを用いたアデノウイルス実験系における組織親和性のアデノウイルス型間の差異の検討と治療薬の有効性の検討 これまで,アデノウイルス感染の実験モデルとしては,ヒトアデノウイルスに適したHeLa細胞やA549細胞による単層培養系(2D)やマウス,家兎などの動物モデルがあったが,後者は再現性が低く,臨床観察にも適するとはいえなかった。これらに対して,縦方向の厚みを持たせて細胞を培養する手法を3次元培養(3D culture)が実用化され,皮膚モデルに次いで,角膜細胞モデルが確立されてきた。本研究では,この角膜3Dモデル(LabCyte CORNEA-MODEL,オリエンタル酵母)を用いて,病原性の異なる複数のアデノウイルス型(流行性角結膜炎,咽頭結膜熱,気管支炎及び新型)を感染させ,その細胞傷害効果と病態を経時的に観察する。さらに角膜上皮下混濁の発症が,上皮基底層でどのようにどの時点から始まっていくのか,型間の相違も含めて解析を行った。その結果,アデノウイルス5型,37型および新型の54型で,接種後の経過を比較したところ,明らかな差がないことがわかった。この結果が示すのは,C種の5型とD種の37型,またD種の新型である54型においては,角膜細胞に対する親和性には差がないということである。しかし,臨床的には54型は角膜合併症特に多発性上皮下浸潤という合併症を多く生じており,今回の実験からも,その増殖速度が書記に遅く,病変の進行が緩やかに長く続くことが示唆された。ただ,実験系の制限によって3日を超える期間については解析できないために,詳細は今後の検討が必要であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の結果が得られ,それによって,,新型アデノウイルスによるウイルス性角結膜炎の病態が明らかになった。国立感染症研究所との共同研究によって,ウイルス株は安定して使用でき,信頼ある実験が継続できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトアデノウイルスには初期転写単位(E)が17個あり,それぞれが1から8個のタンパク質遺伝子を含んでいる。その中でE1A, E1B, E2A, E2B, E3, E4の6つの転写単位はウイルスの増殖サイクルの初期に順次転写される。ここに存在する遺伝子から翻訳されたタンパク質は主にウイルスゲノムの複製や転写の制御と宿主の感染応答の抑制に関与することから,結膜炎を生じやすい型と咽頭結膜熱や上気道炎などそうでない型の組織特異性に関与する可能性が考えられる。これの中で,あまりこれまで解析されてこなかったE3とE4の転写単位の発現を複数の型(Ad5, Ad8, Ad54, Ad56, Ad64)について検討する研究である。細胞内ゲノム増加量を増殖速度と定義し,接種後6時間と上清にウイルスが放出される直前の点の間の傾き(Δ log viral load / Δ time)として計算し,E3およびE4遺伝子の発現量を感染細胞単位で定量して比較する。さらに,E3およびE4遺伝子とそのプロモーター領域の系統学的分析をこれらのゲノム配列に型別の差異がないか,その遺伝子学的距離について,NCBIのデータベースを用いて分析し,結膜炎起炎性の差異と関連があるかどうかを評価する予定である。
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Causes of Carryover |
思っていたよりも安価であったために,残金を生じた。次年度の物品費に充当する予定である。
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Research Products
(20 results)