2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K09711
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
松岡 佐保子 国立感染症研究所, 生物学的製剤研究センター, 室長 (20317340)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | HTLV-1 / ぶどう膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
HTLV-1ぶどう膜炎はHTLV-1感染者の約0.1%に発症し、女性に多く、約20%に甲状腺機能亢進症の既往があることが知られているが、希少疾患であり、その実態把握や病態解明は未だ進んでいない。本研究では、HTLV-1ぶどう膜炎の発症や進展のメカニズムについて、特にホルモンや免疫に関連する因子に注目し、病態の解明を目指している。 ①網膜の間質系細胞株とHTLV-1感染細胞株の共培養系を用いたin vitro解析 網膜色素上皮細胞株(HRPE)、血管内皮細胞株(HUVEC)など網膜を構成する間質系細胞株とHTLV-1感染細胞株(MT-2)を共培養し評価した。HRPEとMT-2との共培養により、炎症性サイトカインの産生が認められた。この産生には2つの細胞株の接触が必須であった。共培養により産生されるサイトカインは、甲状腺機能亢進症治療薬チアマゾールの培養液への添加にて容量依存的に増多した。甲状腺疾患とその治療が、HTLV-1ぶどう膜炎の病態に関与している可能性が示唆された。 ②STLV-1感染サルモデルの解析 サルT細胞白血病ウイルス1型(simian T-cell leukemia virus type 1: STLV-1)感染ニホンザルより眼組織および血液サンプルを採取し解析した。サル眼組織におけるウイルス感染細胞の局在や集積を、超高感度in situ ハイブリダイゼーション法 (RNAスコープ)を用いてSTLV-1ウイルスRNAを検出して確認するとともに、血液でのプロウイルス量との相関を評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網膜色素上皮細胞株(HRPE)とHTLV-1感染細胞株(MT-2)の共培養系の解析により興味深い知見が得られたこと、STLV-1感染サルモデルの眼組織検体の収集と解析が進んだことより、「おおむね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
HTLV-1感染細胞に対するチアマゾールの作用を、HTLV-1感染者の臨床検体を収集し解析する。HTLV-1感染者末梢血T細胞におけるチアマゾール投与における遺伝子発現を解析し、病態に関連するような変動の探索を行う。また、HTLV-1ぶどう膜炎患者の臨床検体ならびに臨床的背景などを収集して統合的に解析し、ぶどう膜炎の発症や進展に関る因子を探索し、病態との関連を検討する。
|
Causes of Carryover |
HTLV-1感染者末梢血T細胞を用いたチアマゾール投与における遺伝子発現解析を、次年度に実施することとした。
|