2022 Fiscal Year Research-status Report
炎症性眼疾患の治療・緩和を見据えた活性イオウ分子種による抗炎症作用機序の解明
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21K09714
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
俵山 寛司 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20402414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 徹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30361075)
國方 彦志 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40361092)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グルタチオン過硫化物 / 抗炎症 / 抗酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
活性イオウ分子種は、過硫化型チオール基を有する分子の総称であり、生体内における新規抗酸化システムとしての役割が報告されている。また、近年、研究代表者らのグループにより、活性イオウ分子種が炎症性サイトカインの発現抑制を通じて、抗炎症作用を発揮することが見出された。本研究課題は、活性イオウ分子種に属するグルタチオン三硫化物(GSSSG)による抗炎症作用機序の解明を目的としている。2021年度には、既知の細胞内シグナリング経路をターゲットにしたケミカルライブラリーのスクリーニングを実施し、GSSSGによるリポ多糖誘導性炎症性サイトカイン抑制に関与しうる、いくつかのシグナル経路を見出した。そこで2022年度には、当該経路のうち、先行研究においてGSSSGとの関連性が報告されていない細胞増殖因子(仮にXとする)に着目し、複数種の阻害剤やsiRNAによる機能阻害実験、また、遺伝子強制発現実験を実施した。その結果、細胞増殖因子Xの機能阻害時には、GSSSG存在下においてもリポ多糖誘導性のIL1b発現抑制がキャンセルされ、他方、強制発現時には、GSSSG非存在下であってもIL1bの発現が抑制された。同様の現象は、IL6やMCP1といった他のリポ多糖誘導性サイトカインでは認められなかった。即ち、細胞増殖因子Xを介したGSSSGによるIL1bの発現制御機序を新たに見出した。2023年度には当該知見を論文化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに実験を進め、GSSSGによる抗炎症作用の分子メカニズムを新たに見出すことに成功した。既に論文執筆を進めており、(2)の進捗状況にあると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、トランスクリプトーム解析および既知の細胞内シグナリング経路を標的とした阻害剤ライブラリーのスクリーニングといった2つのアプローチに基づき、GSSSGによる抗炎症作用機序の解明を試みている。後者については、現時点において既に目的を達成していることから、得られた知見をもとに論文執筆を開始する。他方、前者については、引き続きトランスクリプトーム解析によって得られたデータの解析を進め、ノックダウン実験による候補遺伝子の探索を行う。
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Causes of Carryover |
試薬購入に際し、複数業者に対して相見積もりを行うなど、効率的に予算を執行するよう努めた結果、僅かではあるが、試薬代を節約することができた。昨今の国際情勢を反映し、2023年4月以降、様々な試薬において納品価格の値上げが予定されていることから、次年度使用額については試薬代に充当する。
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