2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒト網膜オルガノイドとマイクログリア共培養系を用いた糖尿病網膜症メカニズムの解明
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21K09727
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大内 亜由美 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80645664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 網膜3次元培養 / マイクログリア / 糖尿病網膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトiPS細胞由来網膜オルガノイドとヒトiPS細胞由来マイクログリア前駆細胞を共培養し、新規共培養モデルの構築をおこなった。 本年度は、共培養後のマイクログリアの時系列的な動態を空間的分布、形態、特性の観点から検討した。 まずは、様々な条件のマイクログリア前駆細胞と、様々な週数の網膜オルガノイドを共培養したところ、安定してマイクログリアがオルガノイド内で遊走定着する条件を見出した。様々な共培養週数で免疫染色を行い、IBA1陽性のマイクログリアの分布や形態を評価すると、共培養したマイクログリアはまず、網膜の内層側に移行し、その後生理的な位置である外網状層に遊走し定着していた。その際、マイクログリアの形態は初期は大きい細胞体で円形の形態をしているが、外網状層に定着すると、細胞質が小さくなり、長く細い突起を持った生理的なマイクログリアの形態にオルガノイド内で成熟することも認められた。また、炎症性サイトカイン、抗炎症性サイトカイン、神経栄養因子、マイクログリア特異的な成熟マーカーの発現をqPCRにて定量評価すると、炎症性サイトカインは初期に上昇を認めるが、外網状層に定着する後期には、ベースラインまで発現低下し、反対に、抗炎症サイトカインや神経栄養因子、マイクログリア成熟マーカーは後期にかけて発現上昇していた。 これらから、ヒトiPS細胞由来網膜オルガノイドとヒトiPS細胞由来マイクログリア前駆細胞を共培養することにより、マイクログリアは網膜オルガノイドで形態的にも、機能的にも成熟することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度に計画していた実験を概ね遂行でき、結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画に則って、糖尿病網膜症の病態におけるマイクログリアの機能解析を行うため、高グルコース環境下で培養し、マイクログリアの変化を免疫染色、qPCR, single cell RNA シークエンス法を用いて解析していく。
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Causes of Carryover |
学会の開催がWebやバーチャルであったため、旅費などの分が計上されず、次年度使用額が生じた。また、本年度は技術員を雇用しなかったため、人件費が計上されず、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)