2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒト網膜オルガノイドとマイクログリア共培養系を用いた糖尿病網膜症メカニズムの解明
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21K09727
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大内 亜由美 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80645664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイクログリア / 網膜オルガノイド / 糖尿病網膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトiPS細胞由来網膜オルガノイドとヒトiPS細胞由来マイクログリアの共培養により、共培養6週間をかけて、網膜オルガノイド内においても生理的に正しい部位に、マイクログリアが遊走定着していることを確認した。また、遺伝子発現パターンを解析すると、共培養2週後はPro-inflammatory サイトカインの発現が著名に上昇しているたが、共培養6週間でそれらの発現は低下し、反対にAnti-inflammatory サイトカインや神経保護に関わる増殖因子などの発現上昇を認めた。また、これらのマイクログリアの形態をMotiQソフトウェアを用いて解析し、共培養2週後と比較して6週後ではマイクログリアの突起の長さや分岐の数が有意に増加していることがわかった。これらから、共培養によりマイクログリアは網膜オルガノイド内に遊走し、6週間をかけて生理的部位に定着および成熟することが示された。 共培養過程でマイクログリアの活性により、ホストの網膜オルガノイドの網膜細胞に影響があるかを細胞死を評価したが、明らかな細胞死の増加などは認めなかった。 またRNAシークエンスにより、この成熟したマイクログリアを有する網膜オルガノイドはマイクログリアに特徴的な遺伝子群の上昇を認め、Gene Ontology解析では、マイクログリアの生理的機能において最も重要である、Synapse pruningやmicroglial cell activationなどが有意なカテゴリーとして上がり、マイクログリアが網膜オルガノイドに定着しマイクログリアに特異的な機能を有していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共培養モデルが確立に関しての上記研究成果は現在論文投稿を済ませており、査読後の追加実験および改訂を終え再投稿を行った。当初予定していたシングル細胞RNAシークエンスに関しては、数回トライしたが、細胞数が少なく、安定した結果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、この共培養系を用いて、高グルコース培養および低酸素培養にて解析を予定通り進めており、糖尿病網膜症におけるマイクログリアの極性変化と網膜細胞への影響について検討を進めている。免疫染色による形態変化とMotiQソフトウェアを用いた定量、網膜細胞死の評価、RNAシークエンスおよびqPCRにて解析していく。
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Causes of Carryover |
RNAシークエンスに用いるサンプルの準備が遅れたため、次年度に実施する。
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Research Products
(3 results)