2021 Fiscal Year Research-status Report
マウス基底膜ライブイメージングによる網膜血管の形成機構とその病的変化の可視化
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21K09732
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
二木 杉子 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (00403014)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 基底膜 / ライブイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は血管の形成や機能に重要な役割を果たす基底膜の形成維持機構や動的変化を明らかにすることを目的としており、基底膜イメージングモデルマウスNid1-mCherry-TGを用いて生体内(生組織)での基底膜のライブイメージングによる解析をおこなっている。 2021年度は、Nid1-mCherry-TGの網膜血管基底膜を器官培養下で継続的に観察し、レーザー光照射による基底膜蛍光の褪色と回復過程を解析するための条件検討を行った。網膜器官培養の条件としては低酸素と通常酸素の比較、培養器材としてフィルター上培養とガラス面上の培養の比較などを行った。結果として、5% CO2/通常酸素下で網膜組織をフィルター上で培養する方法でオーバーナイトの継続観察を行うのが適当と結論づけた。レーザー光照射による光褪色・回復過程については、レーザー照射範囲や強度の検討を行った。30マイクロメーター四方のレーザー光照射・褪色後にNid1-mCherryの蛍光は褪色するが基底膜構造そのものは破壊されていないことも確認した。 以上の条件下で、タイムラプス撮影による蛍光褪色・回復過程の観察と定量化の方法を概ね確立した。現在は解析数を増やしつつ回復速度の定量化とMMP阻害剤などの添加による影響の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた条件検討は概ね実施した。レーザー光照射に関しては、組織へのストレスを軽減するために照射範囲を小さくする検討を行ったが、血管壁の収縮などの意図していなかった反応があり、基底膜蛍光の回復の定量に影響が現れたため、照射範囲を30マイクロメーター四方で収縮の影響をうけにくい中心部を解析対象とするなどの対応となった。これらの検討により、一定環境下で阻害剤添加の影響を定量的に比較する条件が整ったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
基底膜構成因子のターンオーバーが生理的な機構で制御されているか、それはどのような機構によるものかを明らかにするため、MMP阻害剤などを添加して基底膜蛍光の褪色・回復過程にどのような影響が現れるかを検討する。また薬剤添加だけではなく、マウスの週齢などの生理的な要因による蛍光回復速度の変化も解析対象とする。さらに、より生理的な条件下での基底膜因子の動態を解析する手段として、Nid1-mCherryをマウスNidogen-1遺伝子座にノックインしたマウス(Nid1-mCherry-KI)の作製を2022年度に行う。
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Causes of Carryover |
2021年度はひきつづき新型コロナウイルス感染症対策下にあり、そのために大学の教育業務の負担が例年よりも著しく増大した。そのため実験の遂行が当初見込みよりも遅れ、消耗品費の支出が少なくなった。また、当初計画では備品としてマルチガスインキュベーター購入を予定していたが、総支給額の減額などの事情を鑑みて備品購入をやめ、余剰分を消耗品費として請求したが、上記事情により実験に関わる消耗品の購入が抑えられた。次年度はノックインマウス作製委託を予定しており、それに伴って委託費や消耗品費の支出が今年度よりも増加することが見込まれるため、本年度未執行分も含めて次年度に使用する。
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