2021 Fiscal Year Research-status Report
人工知能(AI)による感染性角膜炎診断支援システムの戦略的開発
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21K09742
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
宮崎 大 鳥取大学, 医学部, 教授 (30346358)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 角膜炎 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染性角膜炎は、初期診断とそれに基づく治療方針の選択が視力予後に大きく影響する。そのため、治療にもっとも影響する主要病原体カテゴリー4種(細菌、真菌、単純ヘルペス(HSV)、アカントアメーバ)を判別できる画像AIの開発を進めている。 AIモデルは、画像の判定に有効と考えられるAIモデル(ResNet InceptionV2)をベースモデルとして選択し、開発をすすめている。感染性角膜炎においては、細菌感染が半分以上をしめており、不均衡な分布を示す。不均衡分布に対応するため 細菌性か非細菌性かをまず、判定させ、それに引き続き 他の病原体の診断にうつる構造とし、正答率の向上をはかった。一方、前眼部画像は、さまざまなアングルや照明の画像が混在する。このような画像の特徴は、顔認識用のAIが学習する内容と類似する。このため、顔認識用のAIに用いられる損失関数(Ring loss)を使用し、さらなる精度の向上をはかった。 認識精度の向上には、異なるAIをくみあわせるアンサンブル手法が有用であることが知られている。まず、アングルや照明が異なる複数枚を認識させる手法を試みた。このため、ベースモデルに複数枚の画像を認識させた後、特徴量をそれぞれ算出し、これらをくみあわせて機械学習系のAIで学習させる構造とし、さらに精度の向上をはかった。また、この手法は、検査数値データを、AIに統合することが容易であり、臨床現場に即して検査値を追加して学習させることが可能な構造とした。 以上、さらなる精度向上のため、画像AIモデルの構築を進めつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染性角膜炎において、もっとも頻度の多い主要原因カテゴリーは、細菌、真菌、単純ヘルペス(HSV)、アカントアメーバである。このため、起因病原体としてこれら4つを分類する前眼部スリット画像AIの構築を進めつつある。 まず、画像の収集と選択に関しては、これまで品質の高い画像4000枚以上の前眼部画像を鳥取大学の眼科より収集した。すべての画像においては病原体real-time PCRを含めた分子生物学的検査により検証し、かつ独立した3人の眼科医により妥当性の評価を行った。鳥取大学の画像は、診断が分子生物学的な裏付けをとることができるが、画像データのバイアスや一般化面で問題を生じる可能性がある。このため、AIの構築の過程でvalidationのため、汎用性を担保する目的にて画像種のソースをウェブ画像にも拡張した。このためには、学術論文を含め公開された画像を収集し、AIによる画像判断の一般化を担保しているかの検証に使用した。 病原体を診断する上での画像の難易度は、眼科専門医を含めた角膜疾患の専門家を含めて評価を行った。その結果、病原体の予測は、眼科専門医で40%程度の正答率にすぎななかった。このことは、臨床面で画像のみで判断することを示しており、本研究の開発の方向性が角膜の専門医をも含めた診断支援であることを確認できた。 現在、さらにAIモデルの選択、至適化をすすめつつある。あわせて、画像に種々の病態ラベルを付与するための解析もすすめつつある。このためには、それぞれの画像取得時の、各種病原体定量、さらに同定不明例においてはsequencingを施行し画像の正確なannotation付与をはかりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
画像AIの開発にとってもっとも重要な部分は、学習させる画像の品質とその数と多様性にある。次にどのような構造のAIモデルをつくるのがよいかになる。さらに、AIモデルの大まかな構造を決定した後は、必要な学習画像の選択、臨床的有用性を含めファインチューンしながらモデルの構造に反映させる必要がある。最後に、臨床所見、さらには分子病態との統合を図るというプロセスとなる。
画像のみを用いたAIモデルを構築する上で、前眼部スリット画像は、一般に困難であることが知られており、多くの解決すべき課題を抱えている。AI開発が進んでいる眼底画像と異なり、スリットの照射角度、照明、蛍光色素による染色、光源の映り込みなどがある。これらは、AIの学習にとって至適化を困難とする。Diffuser画像のみに頼らずこうした多様な画像に対応できるような手法の開発を試みている。
まず画像の品質、難易度や学習における有用性を確認するためには、AIが画像のどのような所見を重視して判断しているかを明らかにすることが必要である。一方、感染性角膜炎の画像において、診断に重要な所見はかならずしもあきらかではない。実際、それぞれの所見は容易に判別できる角膜専門医においても診断精度は50%程度にみたない。現在開発中のAIが臨床医の診断精度を大幅にこえることを考えると、AIは臨床医が認識していない所見をも判断に使用していることになる。AIが重視している箇所を理解できる形で所見として提示する必要があるが、従来の一般的手法では困難であった。このため、AIが判断に重視した所見を可視化するアルゴリズムの開発も平行しておこなっている。
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Causes of Carryover |
少額のため次年度経費として有効活用をするため
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Research Products
(2 results)