2023 Fiscal Year Annual Research Report
黄色ブドウ球菌性眼感染症におけるPSM毒素の影響およびファージ療法の効果の検討
Project/Area Number |
21K09744
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
福田 憲 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (70335751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 茂展 高知学園大学, 健康科学部, 教授 (00190439)
石田 わか 高知大学, 医学部, 特任助教 (40761705)
岸本 達真 高知大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60783751)
鈴木 崇 東邦大学, 医学部, 准教授(寄付講座) (70398048)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 角膜炎 / phenol-soluble modulin α / IL-36 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究において、黄色ブドウ球菌のpsmα産生株(Newman株)とpsmα欠失株(Δpsm α株)の細菌培養上清をマウス角膜に点眼すると、psmα産生株の培養上清はΔpsmα株の培養上清と比し、有意に角膜上皮創傷治癒の遅延と好中球浸潤を増加させること、またこれらの作用が、IL-36受容体アンタゴニストで抑制されることよりIL-36依存性であることを示した。 本年度はさらにアラーミンのひとつであるIL-1αに着目し、IL-1受容体アンタゴニストを点眼してIL-1αの役割を検討した。psmα産生株の培養上清による角膜炎はIL-1受容体アンタゴニストを点眼しても、IL-36受容体アンタゴニストとは異なり、角膜上皮創傷治癒と好中球浸潤については有意な変化は生じなかった。したがって黄色ブドウ球菌psmα産生株の培養上清による角膜炎はIL-36依存性で、IL-1非依存性と考えられた。 さらに、psmα産生株およびpsmα欠失株をマウス角膜に感染させてその差異を検討した。その結果、psmα産生株およびpsmα欠失株は角膜に感染した細菌数には有意な差を認めなかった。しかしながらpsmα産生株はpsmα欠失株および非感染群に比して、有意に角膜上皮創傷治癒の遅延を生じさせ、好中球浸潤を増加させた。最後にpsmα産生株を角膜に感染させたマウスにIL-36受容体アンタゴニストを点眼すると好中球浸潤を有意に抑制した。 これらの結果より、黄色ブドウ球菌毒素psmαは、角膜への菌の接着・増殖には関与しないが、角膜構成細胞を傷害し放出されたアラーミンであるIL-36依存性に角膜上皮創傷治癒の遅延および炎症反応の惹起を引き起こすことが示唆された。
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