2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation on pathophysiology of immune-mediated dry eye disease by depleting senolytic reagents
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21K09752
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 葉子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (30160774)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫老化 / T細胞老化 / 移植片対宿主病 / 疲弊T細胞 / 老化細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性移植片対宿主病(chronic graft-versus-host disease : GVHD)は造血幹細胞移植後の合併症として全身に線維化と慢性炎症が、眼表面をはじめとした多臓器に生じる疾患である。慢性炎症には細胞老化が密接に関与している可能性を見出した。さらに細胞老化の中で、免疫老化が眼慢性GVHDの慢性炎症を惹起する原因の一つとして、多段階な病態進展と遷延化に関与することを見出した。本研究では、確立した慢性GVHDモデルマウスにおいて、骨髄移植後、眼GVHDが発症後進展する時期に、T細胞中のNaiive T細胞が減少しMemory T細胞が増加したほか、CD153を発現する老化関連T細胞 (senescence-associated T cell:SA-T) が脾臓細胞の中で増加していた。骨髄移植後4週時、眼GVHDを発症後のマウスの脾臓細胞 CD4+ T細胞において、免疫老化の特徴が認められた。さらに、B細胞では自発的胚中心反応により胚中心B細胞が増加したこと、老化関連B細胞(Age-associated B cell : ABC)が増加したことを明らかにした。自然免疫系においては炎症性細胞集団が増加していた。以上の結果より慢性GVHDマウスの眼GVHD発症時期の脾臓細胞おいて免疫老化の特徴が認められた。さらに、老化細胞除去剤として働くダサニチブとケルセチンを併用療法として慢性GVHDマウスモデルに投与し、移植後28日目のGVHD各標的臓器における老化関連分子の発現抑制の有無を遺伝子と蛋白レベルで対照薬投与群と比較し両薬剤の併用療法効果を検証中である。 本研究の成果より、cGVHDの進展、遷延化にかかわる病態には、免疫担当細胞の免疫老化の結果、自己炎症とや慢性炎症が関与すると考えられ、眼慢性GVHDの新規で根本的な治療法の確立に貢献すると考える。
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