2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K09758
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 高志 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90631573)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗酸化酵素 / 網膜色素上皮 / 脂質 / glutathione peroxidase 4 |
Outline of Annual Research Achievements |
glutathione peroxidase 4(GPx4)は生体膜中に生成する過酸化リン脂質を直接還元する特殊な抗酸化酵素であり、フェロトーシスの重要な抑制因子である。本研究課題では、未知であった、網膜色素上皮(RPE)におけるGPx4の役割を明らかにするため、RPE特異的なAAV-CreベクターとコントロールAAVベクターを作成し、GPx4をRPE特異的に欠失させたマウス(GPx4 cKOマウス)を作成した。GPx4 cKOマウスでは過酸化脂質の代謝産物であるacroleinやmalondialdehydeの蓄積を認めた。急速なRPE変性を認め、変性はビタミンE補充食で軽減された。光干渉断層計、免疫組織学的検証、電子顕微鏡による検討で加齢黄斑変性(AMD)の病理像と近似していることが明らかとなった。さらに、GPx4 cKOマウスにおけるRPE変性はフェロトーシス阻害剤だけでなく、ネクロプトーシス阻害剤の投与でも軽減された。非可溶性区分サンプルを用いたウェスタンブロットを行ったところ、確かにネクロソームの存在が示唆された。一方で、汎カスパーぜ阻害剤の投与ではRPE変性は変化しなかった。 RPEにおける過酸化脂質の蓄積はAMD発祥の原因として考えられてきた。実際に、脂質代謝異常マウスや抗酸化酵素欠損マウスではAMDの初期変化を呈することが報告されてきた。本研究により、RPEにおける過酸化脂質蓄積により、後期AMDに観察されるようなRPE変性が起こりうることが明らかになった。
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