2021 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性足壊疽に対する切り札-プロタミン含有創傷被覆材の開発-
Project/Area Number |
21K09759
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅山 広勝 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (40770334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 恵美 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (10431595)
丹野 寛大 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10755664)
高木 尚之 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (30569471)
山口 賢次 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70897892)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロタミン / 創傷治癒 / 創傷被覆材 / 糖尿病性足壊疽 / 抗菌作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はサケ白子由来抽出物プロタミンを使用した創傷治癒に関する解析である。プロタミンは抗凝固薬であるヘパリンの拮抗薬やインスリンの作用持続薬として実臨床で使用されており、今回さらなる新規治療薬としての効果を解析することが目的である。in vitroの解析ではマウスから抽出した骨髄由来樹状細胞を培養し、プロタミンで刺激する実験を行った。その結果、IL-6やTNF-α、IL-12p40などの炎症性サイトカインの上昇を認めた。創傷治癒において早期の炎症性サイトカインの上昇は白血球の遊走を促進し、創の清浄化を早め治癒を促進すると言われている。今後は、より後期のフェーズで炎症が低下し、創傷治癒における増殖期へのスムーズな移行がなされているかをフローサイトメトリーなどで解析する必要がある。また、in vivoの解析において、マウスへのプロタミン投与と至適濃度の解析を行った。非固着性ガーゼに塩酸プロタミンを浸漬させ乾燥させた疑似的な創傷被覆材を作成し、マウス背部に3mmパンチで作成した全層皮膚欠損に貼付、連日交換のうえDay3で創閉鎖率を解析した。結果、1.25mg/mlの溶液で作成した擬似的被覆材において創閉鎖率の改善を認めた。in vitroの解析で高濃度での細胞毒性の可能性が指摘されていたため、本実験で示された濃度を至適濃度として今後解析を進めていく必要がある。今後、さらに被覆材に準じた形で交換の頻度や解析日、さらに創サイズの変更や感染創、糖尿病マウスでの解析などを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロタミンの投与による創閉鎖率の解析において、実際のマウスで創閉鎖率の改善を認めた。至適濃度が判明したことにより、今後は交換の頻度や剤形、解析日数、創のサイズ変更や糖尿病モデルマウスでの解析などへつなげることが可能である。また、in vitroでの解析でも炎症性サイトカインの上昇を認めており、創傷治癒過程における早期のフェーズで有利に働く因子が確認された。治癒過程の早期の解析から、後半の解析へ進めていくことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、in vitroにおける解析としてケモカインや増殖因子の解析を行い創傷治癒の後期フェーズにおける上皮化や創収縮に有利に働く因子を検討する必要がある。また、フローサイトメトリーによる白血球分画の解析を通して創傷治癒における炎症期から増殖期へのスムーズな移行を確認する必要がある。in vivoの解析では、解析日数、被覆材の交換頻度や糖尿病モデルマウスの使用等を検討し、創傷治癒の促進が確かなものかを確認する必要がある。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に進めたことに伴い発生した額であり、令和4年度請求額と合わせ、今後in vitroにおける解析等の研究遂行に使用する予定である。
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