2022 Fiscal Year Research-status Report
体外潅流法を用いた遊離皮弁モデルと無細胞真皮マトリックスを用いた人工脂肪弁の開発
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21K09760
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
飯田 拓也 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00398603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 幸司 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40612601)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人工皮弁 / 脂肪幹細胞 / 3次元プリンター |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続いて実験を行った。まず脂肪由来間葉系幹細胞を無細胞真皮マトリックス(ADM)に播種した組織の状態を電子顕微鏡を用いて評価した。走査型(SEM)は故障していたため、透過型(TEM)で撮影した。光学顕微鏡上での所見と同様に、真皮側に細胞の接着を認めるものの、表皮側への接着は乏しく、ADM表皮側と真皮側で生着の所見が異なることが分かった。以上、ADMをscaffoldとした脂肪由来間葉系幹細胞の播種、培養は可能であることが分かった。 また3次元プリンター(システムクリエイト社製 Bellulo400)が使用できる環境が整ったため、本機を研究に取り入れて立体的な人工皮弁を作成する試みも行った。具体的には生体吸収性かつ3次元プリンターで出力が可能な素材でscaffoldを作成して、ここにADMを播種して生体内に埋入し、血管柄を付加してprefabricated flapと移植することを想定した。前述の条件を満たす素材としてPolycaprolactone(Facilan TM PCL 100 Filament、3D4Makers、Netherlands)を輸入し、3次元プリンターを用いて造形を行った。通常PLAに用いている3次元プリンターの出力条件ではうまく造形できなかったため調整を行い、エクストルーダー出力温度140℃(通常220℃)、リトラクション距離1.8mmにすることで粗大な形態であれば形成可能であることを確認した。これを用いて耳介軟骨を人工皮弁で作成してみた。まずMRIを用いて耳介軟骨の3次元STLデータを作成し、PCLで出力してみたが、空間分解能が不十分なSTLデータであったためか良好な形態の再現は現時点では得られていないので、さらなる工夫が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ADMをscaffoldとした脂肪由来間葉系幹細胞の播種、培養は可能であることは本研究により分かった。今後は動物を用いた埋入実験を行っていきたいと考えている。 3次元プリンターは通常用いているPLAとは機器によって出力条件が異なることや精密なSTLデータを得るのに難渋しており、試行錯誤を繰り返している。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した組織のラットへの埋入実験のための動物実験倫理委員会の承認を取得したところで、今後動物への埋入実験を進めていく予定である。また3次元プリンターに関しては、PCLでは現時点では粗大な形態は作成できたが細かな形態の再現性は不十分であるため、今後さらなる改良に取り組みたいと考えている。また灌流培養装置の作成も継続していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
実験計画の後半に動物実験等があり、現時点ではそこまで研究の進捗が得られていない。進捗状況に応じて、実験動物や試薬、機器の購入を想定している。
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