2022 Fiscal Year Research-status Report
顔面神経麻痺後遺症に対する埋め込み式神経活動感知型神経刺激治療デバイスの開発
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21K09780
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
佐久間 恒 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80317172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢澤 真樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (60327567)
三木 則尚 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70383982)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 顔面神経電位計測・刺激システム |
Outline of Annual Research Achievements |
1.顔面神経計測・刺激システムを臨床応用するにあたり必要なシステム構築のためラットによる以下実験を施行した。 (1)神経電位計測・刺激用カフ電極の設計。電極はMicroprobe社よりカスタムメイドしたものを使用し、ラット顔面神経への電極設置実験を通じ内径を0.75 mmに決定した。また長期間計測中(30日)に、電極と神経間に組織が成長し計測を阻害することが明らかになった。この効果を最小化するために、4 chとした。さらに筋電位の影響を低減するために金被覆とした。刺激実験においては、ラットのヒゲを動かすための刺激条件を導出した。 (2)増幅回路ならびにクラウン作製。神経電位計測には、増幅回路が必須であり、また覚醒ラットの神経電位の継続的な計測には、これらの回路を神経電位計測電極と接続した上で、ラット頭部上にマウントしなくてはならないことから、回路基板を設計、製造した。マウントのために、ラット頭蓋に固定用の治具(クラウンと呼ぶ)を、医療用ネジで固定した。さらにクラウンの形状、およびネジの固定方向について改良を行った。 (3)動物実験プロトコールの検討。ラット実験においては、電源ならびに計測記録は外部に設置した。鎮静剤の使用は適切でないとのコンセンサスにより、覚醒下での観察、計測のためにラットを固定する必要性が生じた。一方で、頭部および胴部の過度な固定は体動によりクラウンが外れる結果となった。3Dプリンタを用いて頭部固定具形状を工夫しても、良い結果は得られなかった。一方で、ラットが電源、計測用のケーブルに対して攻撃するのではないか、という危惧があったが、自由行動下においては、ケーブルへの関心を示さなかった。そこで胴体部のみを固定した状態で実験を行うプロトコールとした。 2.顔面神経麻痺の臨床において、神経2重支配薄層前鋸筋移植による笑いの再建についての学会発表、論文作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究において基本となる神経電位計測・神経刺激用カフ電極の設計および計測のための電極固定装置の設計、製造に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、設計した神経電位計測・神経刺激用カフ電極を使用して、提案する治療法の基礎技術となる、神経活動電位の計測、神経の刺激、高周波交流電流(HFAC)を用いた神経のブロック技術を確立すべくラットを用いた以下の実験を順次行っていく。①健側顔面神経からの神経活動電位計測、②計測した神経活動電位を用いた患側顔面神経刺激、③神経移植により顔面神経に接続した舌下神経刺激④高周波交流電流による舌下神経のブロック。
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Causes of Carryover |
研究遂行に必要な電極選択および電極固定装置の改良含めた測定環境の設定に時間を要し、当初予定していた実験の進行に支障をきたしたため、助成金の余剰につながった。次年度は前年度分の余剰助成金と合わせて、神経電位計測・刺激実験に必要なカフ電極および測定器作成のための購入費用に充当していく予定である。
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