2021 Fiscal Year Research-status Report
シリコン人工乳房へのバイオフィルム形成に注目した慢性炎症機序の解明、制御法の開拓
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21K09786
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 尚之 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (30569471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 恵美 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (10431595)
山口 賢次 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70897892)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳房再建 / 被膜拘縮 / BIA-ALCL / インプラント / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌術後の乳房再建術において、組織拡張期(TE)や人工乳房(SBI)を用いた手術が広く行われているが、これらのシリコン性の人工物周囲には、長期的な被膜拘縮を高頻度で生じ、さらに近年ブレストインプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)の発声が報告されている。また、被膜拘縮は表面が平滑なスムースタイプのシリコンで多いのに対し、BIA-ALCLは表面に微細な凹凸のあるテクスチャードタイプのシリコンで多いとされており、シリコンの表面形状による反応の違いが指摘されているが、これらの原因は全く解明されておらず、深刻な合併症に対する対策は立てようがない。 申請者らはこれまで乳房再建において43臨床検体のテクスチャードタイプのシリコン周囲被膜を採取し、驚くべきことに51%の検体でバイオフィルムが検出されるという結果を示した。 本研究では、これまで本邦で主流であったテクスチャードタイプのシリコンから、BIA-ALCLを契機に使用が開始されたスムースタイプのシリコン周囲の被膜検体を同様に検討することで、炎症遷延化の原因の一つと考えられているバイオフィルム形成がシリコンの表面形状の違いにどのように関与するかを解析することを目的としている。 以上よりバイオフィルムによるシリコンインプラントへの影響について基盤情報を獲得し、さらに被膜の肥厚化・拘縮に対してはどのような生体反応が関与しているのかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在スムースタイプのシリコン製の組織拡張期を使用している患者を対象に人工乳房入替え手術の際に被膜組織を採取し、標本作成および検体保存を進めている。手術は定期的に施行されており、検体採取のスケジュールは概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
採取した検体に対し、集積細胞などの病理学的解析およびバイオフィルム形成の有無を検討し、これまで行ってきたテクスチャードタイプシリコンとの反応の違いを解析することで、シリコンの表面形状の違いによる異物反応およびバイオフィルム形成との関連性および発生のメカニズムの解明を試みる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に進めたことに伴い発生した額であり、今後、令和4年度請求額と合わせ、「今後の推進方策」にて記載の通り研究遂行に使用する予定である。
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