2022 Fiscal Year Research-status Report
脂肪由来間葉系幹細胞の分化ポテンシャル予知マーカーシステムの開発
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21K09792
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金輪 真佐美 (福永真佐美) 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助教 (00284208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 勝巳 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40294566)
平田 伊佐雄 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40346507)
中島 歩 広島大学, 医系科学研究科(医), 共同研究講座教授 (40448262)
河本 健 広島大学, 学術・社会連携室, 特任教授 (50224861)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 脂肪 / 分化予知マーカー / DNAマイクロアレイ / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞(MSC)は、多分化能を有しており様々な組織から分離、培養することが可能な細胞である。我々は過去に、多数のドナーの骨髄由来MSC(BMMSC)を分離培養し、骨、軟骨、脂肪の3方向への分化能を分析したところ、それらの分化能には高低差があり、一定ではないことが判明した。しかしそれらの分化能を分化誘導前に予知できる手段は不明な点が多いことから、BMMSCの分化能について分化誘導前に把握できる方法を検討し数種類の遺伝子マーカーを報告した。一方、近年BMMSCよりも分離培養が容易である脂肪由来MSC(ASC)の臨床応用に注目が集まっている。ところが、ASCの分化予知マーカーについても未だ報告がみられない。そこで本研究においてASCの分化能の予知に寄与するマーカー遺伝子を分析した。 公開されているDNAマイクロアレイのデータセット(BMMSC、ASC、線維芽細胞の3種類の細胞の解析データを同時に分析しているもの)を3 study分用意した。線維芽細胞をコントロールとし、BMMSCまたは、ASCで3倍以上高い発現を示している遺伝子を選択し、3 study間で共通している遺伝子をピックアップした。即ち、線維芽細胞よりBM-MSCで3倍以上高い発現を認めた遺伝子は17個あり、また同様にASCで3倍以上高い発現を示した遺伝子も17個あった。それら17個の遺伝子の中で両幹細胞の間で共通していた遺伝子を4個(CTGF、MFAP5、INHBA、SRGN)選択することができた。この4個の中でSRGNはすでに我々がBM-MSCの骨分化予知マーカーとして報告した遺伝子であった。本研究では、すでに公開されているDNAマイクロアレイのデータを解析したが、幹細胞の遺伝子発現は様々な環境因子に影響される。我々の研究室とは異なるアレイデータからも共通した遺伝子を選択できたことは意義があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪由来MSCの分化予知マーカー候補遺伝子についてDNAマイクロアレイに搭載されている数万個の遺伝子から17個に絞ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
線維芽細胞をコントロールとし、BMMSCまたは、ASCで3倍以上高い発現を示している遺伝子を選択し、3 study間で共通している遺伝子を17個ピックアップしたが17個の遺伝子同士の関係性について不明な点が多い。遺伝子の発現において、多数の遺伝子は同時に共発現という関係性を持って連動して発現するしくみがある。今後予知マーカー遺伝子を同定するために17個の遺伝子間の関係性についてSTRING: functional protein association networksを用いて明らかにする。
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Causes of Carryover |
申請当初の予定では脂肪由来MSCの分化予知マーカー遺伝子を同定するために多数検体から得られた幹細胞のRNAを抽出しDNAマイクロアレイの実験を行う予定であった。しかし、幹細胞の遺伝子発現は培養条件に影響される。幹細胞の培養条件は研究室毎に異なる場合が多い。したがって本研究の培養条件においてのみで得られた結果をもとに研究を進めることは、再生医療において研究結果に普遍性を持たすという観点において難しいのではないかと考えた。そこでまずすでに公開されているDNAマイクロアレイのデータを出発点として研究を進めていくことにしたため予定していた実験に必要な費用が未使用となった。今後必要な受託解析に充てる予定である。
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