2021 Fiscal Year Research-status Report
術者のコツと経験則を拡張現実を用いて共有するシステムの開発
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21K09810
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
矢野 智之 公益財団法人がん研究会, 有明病院 形成外科, 部長 (40537304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒船 龍彦 東京電機大学, 理工学部, 教授 (50376597)
辛川 領 公益財団法人がん研究会, 有明病院 形成外科, 副医長 (60802171)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳房再建 / 対称性 / 3D画像 / プロジェクションマッピング / 拡張現実 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の概要は乳房再建、頭頸部再建、外傷や先天性疾患などの顎顔面領域の手術の成果を決める対称性の獲得、失われた形態の再現について、いかに術者のコツと経験に依存せずに実施可能とする術中ガイドシステムの開発である。特に手術操作によってもたらされる再建組織の左右3D 形状差分の変化を撮影-蓄積-解析-投影が簡便にできる装置としてパッケージ化することを目指している。 その中で、当該年度は当院において再建症例数が多い乳房再建に重点をおいて検討を行なってきた。特に顕微鏡下血管吻合付き自家遊離組織再建において検討を行なった。乳房再建術中に健側乳房に対する再建側乳房の左右3D形状差分について、従来は手動にて数分かけておこなっていた3D画像撮影を、複数の3D画像取得センサーを連結して撮影する一体型の筐体を作成した。1クリックにて3D画像が取得できる試作機を作成し、実際に運用してきた。またこの一体型筐体については、一合わせのためのレーザーポインター、また取得した3D形状差分情報を投影するプロジェクターも配置可能なものとし、画像の取得、位置合わせ、投影までを行なえる一体型装置のプロトタイプとした。 また併せて、適切な3D形状差分情報の提示方法としてiPadのようなタブレット端末を介して術者に情報提示する方法、マイクロソフト社のHololensといった拡張現実デバイスを用いた方法についても、その実行可能性について探索的な予備実験を行なった。これらについては、その実行可能性とデータについて第60回日本生体医工学会大会および第30回日本形成外科基礎学術大会等にて共同研究者が報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響を認めた。デルタ株、オミクロン株の影響で外来診療および手術診療について一部制限がかかってしまった。またコロナウイルス感染症への対策強化によって、外部人員となる共同研究者が当院に来院することができない時期もみられていた。そのために、本来はプロトタイプ機の製作には、実際に試作機を見て、操作をしながら協同研究者とディスカッションをしながら作り上げてゆくというプロセスが必須なのだが、これらの検討を行なうことが非常に困難であった。その中でもweb会議や必要最小限の対面ミーティングを用いることで、3D形状差分情報の取得と投影のための画像の取得、位置合わせ、投影までを行なえる一体型装置のプロトタイプを作成することができた。また症例数は少ないながら、この装置を用いた自主臨床研究を実施することができた。また別の情報提示手段として、iPadのようなタブレット端末を介した情報提示方法、マイクロソフト社のHololensといった拡張現実デバイスを用いた方法についても、探索的な予備実験を行なうことができた。実際の自主臨床研究としての実施件数自体は少ないものの、実施することができ、また学会報告という形も取れたために「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、3つのことを考えている。1つが試作したプロトタイプ機について実施件数を増やす事であり、データ数を増やし、その有用性について検討することがあげられる。またプロトタイプ機自体は、実際にはまだ大さも大きく、術中に使用する場合の取り回しも良いわけではないために、実際の臨床で使う場合により適した形状、取り回しのよい構造という形でさらなるプロトタイプ機のバージョンアップ版を作成してゆくことがあげられる。2つ目が、iPadなどのタブレット型装置を用いた情報提示についてである。これは3つ目となる拡張現実デバイスであるHololensを用いる検討も同じであるが、手術場における位置合わせの問題があり、現在これをQRコードを使って位置合わせをする方式などを検討している。本年度の中心課題になると考えている。本年度は、コロナウイルス感染症が一定の落ち着きを示すと期待されるために、これら自主臨床研究の実施件数を増やすことも考えている。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の影響で、想定していた自主臨床研究の実施件数が少なかったこと、本来改良をしながら複数のバージョンを作る予定であったプロトタイプ機の作成に遅れが生じたため。
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Research Products
(4 results)