2023 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格関連分子Kidによる骨・軟骨代謝制御機構の解明
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21K09830
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
松原 琢磨 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (00423137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 佳充 九州大学, 農学研究院, 教授 (00314360)
永野 健一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (60834348)
中富 千尋 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80878273)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 軟骨 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
キネシンファミリータンパク質Kidの一塩基変異は,低身長や顎顔面の低形成を症状とする脊椎骨端骨幹端異形成症-関節弛緩2(SEMDJL2)の原因である.しかしながら,Kidの骨・軟骨における役割は未だ不明である.その点を解明するためにKidのモータードメイン以降を欠失した遺伝子改変マウス(KidΔC)を作成し,解析を行った.KidΔCのホモマウスは生まれてこなかったため,KidΔCのヘテロマウスを解析した.まず,生後1日齢のマウスの骨格標本を作製した結果,ヘテロマウスの大腿骨は野生型に比べ短かった.さらに8週齢のマウスの脛骨の組織切片を作成したところ,ヘテロマウスの成長板は野生型に比べ短かった.また,マイクロCT解析および骨形態計測をおこなった.その結果,ヘテロマウスの骨量などの骨形成が少ない傾向にあったが,有意差は認められなかった.また,3日齢マウス肋軟骨を採取し,in vitroでの解析を行った.その結果,KidΔCヘテロマウス由来の軟骨細胞は野生型由来のものに比べ,細胞分裂期に形成される紡錘糸の形成に異常が認められ,正常に分裂しないため細胞増殖が遅かった.また,軟骨細胞前駆細胞株ATDC5にSEMDJL2の原因となる変異型(KidP143L. R144Q)を遺伝子導入した結果,Kidの変異体を発現する群では紡錘糸の形成に異常が認められ,細胞分裂が行われなかった.以上の結果より,Kidは軟骨細胞の増殖期の紡錘糸形成に必須的役割を果たし,その後の成長板軟骨の伸長を制御していると考えられた.また,SEMDJL2の原因となる変異型は軟骨細胞の紡錘糸形成に異常を起こし,細胞増殖能を低下させるため,低身長を引き起こすと考えられる.本研究によりSEMDJL2の病因の一端が解明された.
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[Presentation] KIF22, a gene associated with skeletal abnormalities in SEMDJL2 disease, is required for chondrocyte proliferation and differentiation2023
Author(s)
Kawaue, H, Matsubara, T, Addison, W, Kokabu, S
Organizer
29th IAPD congress, Maastricht, Netherland (June), 2023.
Int'l Joint Research