2021 Fiscal Year Research-status Report
治療抵抗性口腔癌におけるRadiomicsを応用したプレシジョンメディシンの構築
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21K09838
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金 舞 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (90625584)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 治療抵抗性口腔癌 / PET / イメージングバイオマーカー / テクスチャ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん診療における画像評価は、原発巣の広がりや所属リンパ節転移、遠隔転移を検出し、治療方針を決定するのに重要な検査の1つである。近年、医用画像の定量的解析に関心が高まっており、画像より特微量を抽出し網羅的な高次元解析(Texture analysis:画像の濃度分布や輝度、コントラスト)の有用性が報告されている。同時に、画像情報に分子生物学分野の情報(ゲノム、細胞内タンパクや代謝)を上乗せしたRadiomicsの概念も定着してきた。 本研究は、治療抵抗性口腔癌におけるTexture analysisと次世代シークエンサー等によるOmics解析(腫瘍の遺伝子型、表現型)を応用した、抗腫瘍効果や治療効果予測との関連とプレセジョンメディシンの構築について調査している。 今年度の研究実績として、分子標的薬を用いた再発・転移症例(R/M:OSCC)において、PET texture解析を実施した。SUVヒストグラム、normalized grey-level co-occurrence matrix(NGLCM), neighborhood gray-tone difference matrix(NGTDM)などの特微量について治療奏功群と非奏功群に分類し、画像コントラスト、輝度、濃度分布など腫瘍内の発現パターンとの関連について検討した。 治療抵抗性口腔癌に対し、分子標的薬投与を実施した患者における抗腫瘍効果とimaging biomarkerとの関連性について検討した結果、標的病巣のPET texture解析において、SUV MTVの他、GLRLM_RLNU , SHAPE Volume(mL),SHAPE_Volume(vx)およびの低い症例では抗腫瘍効果を認めた。PET texture解析は口腔癌における薬物療法の治療効果予測に有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書の手順に則って、順調に進んでいる。 今年度の研究計画目標として、口腔癌における画像から抽出されたtextureデータと、Omics解析より得られた遺伝子データー、臨床データ(腫瘍の悪性度、分化度、全生存率、無再発生存期間率、最大治療効果、予後、転機)のアウトカムとの関連性について、独立した画像因子、遺伝子因子についてモデルの構築を目的としていた。それぞれの PET画像におけるTexture解析についても順調に解析が可能であった。病変が小さく、描出できない症例やメタルアーチファクトの影響で解析困難な症例を認めた。各項目の臨床データと画像バイオマーカーの検出においてもいくつかの特異的なパラメーターを検出することが可能であった。 治療抵抗性口腔癌における治療奏功群、非奏功群に分類したPET代謝画像情報のヒートマップ解析やデンドログラム解析を用いPET特微量を抽出し、治療非奏功群に認めるイメージングバイオマーカーを発見したため、論文掲載に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
TCGA(The Cancer Genome Atlas)などの公開データは、疾患領域ごとのがんゲノムや遺伝子変異情報が集約されている。 今後、口腔癌においても治療開始前や経過観察中の画像で腫瘍のheterogeneity と遺伝子変異や抗腫瘍効果が評価可能であれば、薬物療法の層別化へと期待が高まる。 次年度以降は、がんの診療のために採取されたFFPEからDNA,RNA,代謝産物などを抽出し、腫瘍細胞由来のDNAを鋳型に次世代シークエンサーを用いた解析(エクソームシーケンス解析、網羅的トランスクリプトーム発現解析、標的遺伝子変異解析、標的遺伝子発現解析、網羅的DNAメチル化解析)を利用して腫瘍細胞系の体細胞変異、コピー数異常、DNAメチル化異常について、次の対象遺伝子(TP53,CDKN2A,PIK3CA,EGFR)を主軸として、増幅(amplification)やRAS-RAF伝達経路 signaling pathwayの遺伝子変異の解析予後や抗腫瘍効果についての調査を予定している。特に関連のあった症例についてはさらに、質量分析計によるプロテオーム解析を用いたタンパク質解析やウエスタンブロッティング、免疫染色における発現解析、再発・転移などの臨床情報と組み合わせたPET画像マーカーと予後予測の評価を予定している。
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Causes of Carryover |
次年度にNGS解析を行うための実験検査器具や解析ソフト購入の準備を予定しているため。
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Research Products
(6 results)