2023 Fiscal Year Research-status Report
Epigenomic analysis of articular cartilage superficial zone cells
Project/Area Number |
21K09845
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
安原 理佳 昭和大学, 歯学部, 准教授 (20453649)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 準一 昭和大学, 歯学部, 准教授 (40710166)
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 骨格形成 / 軟骨 / エピジェネティック / 幹/前駆細胞 / 亜鉛トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、関節軟骨障害の修復起点としての関節表層細胞に着目した軟骨分化機構の解明を目的とした。これまでにZIP10欠損マウスは、四肢短縮に加え全身の骨格障害を生じ、ZIP10を欠損した骨芽細胞は機能低下が認められた。関節の成長板の軟骨細胞は不規則な配列と骨化の促進がみられ、軟骨分化異常が生じていると考えられた。RNA-sequence法を用いた網羅的発現解析では、骨代謝調節の異常と細胞の生死、エキソソームなどの細胞外vesicleを制御していた。軟骨細胞が放出したexosomeの回収とZIP10欠損によるカーゴ(内包物質)の解析をDIA mass spectrometryを用いて行い、DNMT1、TMCO1, OSTPなどのDNAメチル化やヒストン修飾変化を介した骨形成関連タンパクが検出された。遺伝子発現制御を担うDNAメチル化やヒストンの化学修飾変化が細胞の記憶とその機能発現に重要であることから、特に細胞内外の亜鉛濃度の変化によるエピジェネティクスな制御に着目した。表層細胞は、軟骨細胞へ誘導可能な前駆細胞様の性質を保持する一方で、幹細胞や前駆細胞といった未分化な状態の細胞は、環境因子の影響を受け分化が進行することから、細胞内外の亜鉛濃度の変化は幹細胞や前駆細胞の細胞環境に大きく影響し、DNAのメチル化や転写因子の結合配列の化学修飾などエピジェネティクスな制御が働くことで細胞分化異常を生じると予想された。表層細胞から軟骨分化過程におけるDNAやヒストンの化学修飾変化をZip10の発現制御下で解析を行っている。軟骨分化におけるH3K4me3およびH3K27me3による転写活性化および抑制レベルやそれをとりまくトライソラックス群タンパク質やポリコム蛋白複合体の変化について解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Zip10CreER- Rainbow マウスを作製し、タモキシフェン投与することでZip10 陽性細胞を標識し、標識細胞のクローンを組織学的に解析する予定であったが、 Creマウスの発現の変動が大きく、樹立した別の相同組換えクローンを用いて作製を進めてきた。これらのマウスから細胞を採取してin vitroの実験にシフトしていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
軟骨分化に対する3次元培養系を用いて、表層細胞から軟骨分化過程におけるDNAやヒストンの化学修飾変化をZip10の発現制御下で解析する予定である。今後は、骨代謝調節因子を制御する候補因子のDNAをターゲットとしたCRISPR/Cas9 を用いた脱メチル化システムを構築する予定である。クロマチンレベルのエピゲノム 解析には、scATAC-seqが有効であり、シングルルセルレベルでの遺伝子発現制御についても検討し、総括していく予定である。
|
Causes of Carryover |
計画していた動物実験に遅れが生じたため、計画を前後して進めているが、来年度に予算を計上して行っていく予定である。
|