2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K09846
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 良喜 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (10609085)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ディフェンシン / 自然免疫 / 粘膜免疫 / 抗菌性ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
生体の入り口である口腔は、外来抗原や病原性微生物の侵入を防ぐ重要な場所である。近年、腸管は食事由来抗原により、固有の腸内細菌叢と共に腸内環境を変化させることで腸管のみならず全身の免疫システムを活性化させることが知られている。 これまでに、乳酸菌の胃内投与により唾液中のbディフェンシン3を誘導することで、口腔内疾患の発症抑制・軽減することを報告したが、腸-口腔を相関を制御因子は不明である。そこで、我々は唾液bD3の産生誘導する、自然免疫システムに着目して液性因子の動態を中心に検討した。 これまでに、乳酸菌胃内投与により唾液bD3産生が誘導されているが、腸口腔相関を担うシグナル分子は不明であった。そこで、乳酸菌(Lactic acid bacteria)の胃内投与(LAB-fed)マウスの血清を通常マウスに尾静脈投与を行うことで血漿中の液性因子を検討した。興味深いことにLAB-fedマウスの血漿投与により唾液中bD3が顕著に産生され、リアルタイムPCRにより唾液腺および舌、歯肉組織でのbD3特異的mRNAも同様に認められた。他方、ヒト歯肉上皮(Ca9-22)細胞やマウス歯肉上皮細胞(GE1)を用いてLAB-fedもしくはPBS-fedマウス血漿によるbD3産生誘導を確認したところ、歯肉組織中にbD3が誘導されていることをELISA法により確認した。また、腸管上皮細胞におけるbD3産生誘導はIL-22に依存すことが報告されていることから、IL22による影響を検討したところ、歯肉上皮細胞にIL-22Rの発現が認められた。また、抗IL-22/坑IL-23中和抗体により、In viro試験系およびIn vitro試験系のいずれにおいてもbD3の産生応答が抑制することを確認した。 以上のことから乳酸菌の胃内投与による唾液bD3の産生誘導としてIL22に依存する可能性が示唆された。
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