2021 Fiscal Year Research-status Report
腸管粘液由来の糖利用競争力を介したクレブシエラ菌の腸内定着に及ぼす影響の解明
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21K09861
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
深町 はるか 昭和大学, 歯学部, 助教 (10433799)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クレブシエラ / 腸管定着 / germ-freeマウス / gnotobioteマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、マウスへの感染実験で、糖の取込み機構であるホスホトランスフェラーゼシステム(PTS)の腸管への定着に及ぼす影響を解明することとした。初めに、無菌マウスおよび常在細菌叢を有するSPFマウスに対してクレブシエラ菌の安定定着条件の検討を行った。無菌マウスは、炭酸水素ナトリウムで胃酸を中和後、1×10<sup>9</sup>/100 μl経口投与することで、投与7日後の糞便1g中に2X10<sup>9</sup>CFUレベルで定着し、安定的に腸管内に定着することを確認できた。SPFマウスは、細菌の経口投与前日にストレプトマイシン20 mgを経胃投与後、アンピシリン200 μg/mlを飲用水に添加し、無菌マウスと同様に胃酸を中和後、菌を経口投与することで、投与7日後の糞便1g中に1~2X10<sup>9</sup>CFUレベルで定着し、安定的に腸管内に定着することを確認できた。 このクレブシエラ菌投与条件で、マンノースPTSが腸管への定着における競争上の優位性となるかCompetitive assay (競合的コロニー形成法)で検討した。WTおよびPTS KO株を等量混和し、マウスに経口投与後、1, 3, 7, 14日の糞便を回収し、マンノース分解能を指標とした寒天平板でWT, KO株の菌数を求め、Competitive index (CI)=ratio out(KO/WT)/ration in(KO/WT) CI<1: WT優位、CI>1:KO優位 で判定した。感染14日後にはCI=0.06となり、マンノースPTSは腸管への定着に関与することが示された。 先進ゲノム支援2021年度第2回支援課題に採択され、ノトバイオートマウスの腸管に定着したクレブシエラ菌のRNAシーケンスを行った。発現変化を解析することで、腸管の適応に必要な遺伝子や免疫調節に関わる因子が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた無菌マウスおよびSPFマウスの安定定着条件の検討とCompetitive assay を実施できたため、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
無菌マウスへの感染実験で、PTSの免疫調節に及ぼす影響を解明する。無菌マウスおよびSPFマウスに本年度検討した条件でクレブシエラ菌安定定着マウスを作製し、マウスの腸管上皮間リンパ球および粘膜固有層リンパ球を採取し、CD4抗体、IFN-g抗体、IL-17A/F抗体で染色し、FACS解析でTh1およびTh17応答を解析する。
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Causes of Carryover |
無菌マウスの維持費用が当初の予定よりも少なく済んだため。また学会がオンライン開催となったため、旅費がかからなかったため。次年度、実験予定のC57BL/6無菌マウスの繁殖効率が悪いため、再度繁殖用無菌マウスの購入を予定しているため、これに使用する。
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