2021 Fiscal Year Research-status Report
神経障害後の細胞環境依存的な衛星細胞の機能変化と三叉神経の興奮性変調機構の解明
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21K09867
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
久保 亜抄子 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 特別協力研究員 (70733202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 真之 日本大学, 歯学部, 教授 (00300830)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 三叉神経 / サテライトグリア / 細胞内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性痛発症のきっかけとなり得るサテライトグリアと神経節細胞間の機能連関機構を解明し、新たな疼痛治療戦略を構築することを目的として本研究を開始した。今年度は、以下の点について研究を実施した。 1.サテライトグリア細胞内pHイメージング解析 雄性ラット三叉神経節内にアデノ随伴ウィルス(AAV)ベクターをマイクロシリンジを用いて注入し、三叉神経節内のサテライトグリア選択的にチャネルロドプシンを発現させた。本ラットから三叉神経節を急性単離し作製した三叉神経節スライス標本に対しpH感受性蛍光色素を導入し、共焦点レーザー顕微鏡を使用して青色光照射時のサテライトグリア細胞内水素イオン濃度の変化を解析した。光照射前・照射後の画像を解析したところ、光照射による有意なpH変化は観察されなかった。今回使用した細胞ではチャネルロドプシンの発現量が低かったことから、今後はチャネルロドプシンが高発現している細胞を選択し解析を行う予定である。 2.外側腕傍核への投射経路の解析 口腔顔面痛を受容する延髄二次求心性神経が痛みの情動経路に関連する外側腕傍核へ投射する割合を調べるために逆行性トレーサーを使用して検討を行った。外側腕傍核に逆行性トレーサーを注入したラット咬筋に痛み刺激を処し、深部痛覚を受容する二次求心性神経の細胞体が存在する延髄下部におけるリン酸化細胞外シグナル調節キナーゼの発現を免疫組織化学的解析を用いて行った。その結果、外側腕傍核に投射する神経細胞の約60%は咬筋への痛み刺激に応答する侵害受容神経であることがあきらかとなった。またこの割合は雌雄で差がなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は新型コロナウィルス感染症の影響と使用予定機器の故障で予定通りに研究をすすめることができなかった。また、パッチクランプ記録のサンプル数をあまり増やすことができなかった。しかしながらpHイメージング手法の確立と投射経路解析は終了している。以上のことから研究はやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も交付申請書に記載した「研究目的・研究方法」に沿って研究を推進していく。今年度に手法を確立した細胞内pHイメージング解析を完了させる。三叉神経節スライス標本からのパッチクランプ記録を継続して行い、データ数を増やす。
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Causes of Carryover |
(理由) 新型コロナウィルスの影響などにより、実験の進行が遅れたため、試薬類の使用量も当初の予定よりも少なくなったため。 (使用計画) 2022年度分として請求した助成金と合わせて、実験用動物、抗体、光照射用カニューラの購入費用としての使用を計画している。次年度は、実験動物や抗体といった消耗品費および国内学会への参加費および旅費に使用する計画をしている。
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