2022 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー代謝調節遺伝子UCPは握力と歯周炎および全身疾患の関連性に関与する
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21K09871
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉田 典子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30313547)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | UCP / 歯周炎 / 遺伝型 / ミトコンドリア / 筋力 / 運動習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア内膜に存在する脱共役タンパク(Uncoupling protein: UCP)は、エネルギー代謝調節を司る。これまでにUCP遺伝子多型と、糖尿病や肥満などの全身疾患、さらには長寿との関連性が報告されてきた。我々は以前、閉経後女性集団を対象とした疫学研究においてUCP2およびUCP3遺伝子多型と重度歯周炎との間に有意な関連性を報告した。UCP2は白血球を含む多種の細胞に広く分布するが、UCP3は主に骨格筋細胞に強く発現している。UCP2およびUCP3遺伝子多型は全身の筋力の指標である握力レベルとも関連性を示すことが報告されている。そこで本研究では、新潟県佐渡市の佐渡総合病院外来患者である成人男女を対象とした臓器連関コホートプロジェクト(PROST)の一環として、UCP遺伝子多型と握力、全身疾患、歯周炎との関連性を解析することにした。 PROSTにおいては、全身疾患など医科データ、歯数、歯周炎の有無などの歯科データ、運動習慣を含む生活習慣などがデータベース化されているとともに、同意を得た参加者の血液からゲノムDNAを抽出し各種遺伝型をタイピングしている。我々は新潟大学遺伝子倫理委員会の承認を得て本研究を実施した。その結果、UCP2、UCP3遺伝型と重度歯周炎との関連性が、上記閉経後女性集団での結果に引き続きPROST参加者である成人男女でも明らかになった。一方でUCP1と重度歯周炎の間に関連性は認められなかった。本研究ではUCP遺伝型と糖尿病、肥満、脂質異常症との有意な関連性が見られなかった。またPROSTにおいては握力データを有する参加者の数が少なく統計解析が困難であった。しかし運動によりUCPの発現が増加するとの報告があることから、歩数計で計測した一日平均歩数および運動習慣アンケート結果とUCP遺伝型、歯周炎および歯数とUCP遺伝型との関連性を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
UCP遺伝型との関連が知られている筋力の指標としての握力を解析する予定であったが、握力データを有する対象者数が少なく、COVID-19影響下で追加例の増加も期待できなかったため、計画を変更し、歩数計で計測した1日平均歩数とUCP遺伝型、全身疾患、歯周炎、歯数の関連性を解析することにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
歩数計で計測した一日平均歩数および運動習慣アンケート結果とUCP遺伝型、歯周炎および歯数とUCP遺伝型との関連性を解析するとともに、ヒト骨格筋細胞に発現するUCPが歯周炎において果たす役割を細胞実験で明らかにし、それぞれの結果を論文にまとめて英文学術誌に掲載する。
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Causes of Carryover |
佐渡総合病院外来患者の成人男女を対象とした臓器連関コホートプロジェクト(PROST)の参加者のうち、本研究対象者のUCP遺伝型タイピングを検査会社に依頼する費用のすべてを当該助成金から支出する予定としていたが、UCP遺伝子多型のうち2種については、既存のJaponica Arrayに含まれており、PROST参加者の一部に関して過去にタイピング済みであることがわかった。また、その他のUCP遺伝子多型については、PROSTのDNA管理者が常勤から非常勤に代わったため、予定した分注作業を年度中に全例について実施することができず、遺伝型タイピングは次年度に持ち越しとなった。現在、残りの分注作業を進行中であり、数か月以内に検査会社にタイピング依頼をする予定である。
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Research Products
(2 results)