2021 Fiscal Year Research-status Report
歯髄治癒過程における神経伝達物質と自然免疫制御による象牙質再生機構の解明
Project/Area Number |
21K09883
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
武藤 徳子 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (40510433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 信之 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20163610)
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歯髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の切削、再植、移植等の歯の損傷動物実験を用いて、外的侵襲後の歯髄治癒機構を検索し、これらの実験結果から歯の損傷後の歯髄修復機構においては、歯髄には前駆細胞と歯髄幹細胞が存在し、損傷の程度によって異なる修復機構が働き、象牙質形成と骨組織形成が惹起され、歯髄再生過程においては歯髄幹細胞/前駆細胞の維持が歯髄生存の鍵を握っていること、さらに、in vivo窩洞形成実験において、歯の損傷後初期にマクロファージが象牙質・歯髄界面に集積し変性細胞の処理にあたること、歯髄細胞の増殖時期に一致して再生神経線維と歯髄血管網の密度が増加することを明らかにしている。本課題は、上記所見を基盤に、外的侵襲後の歯髄修復過程における神経ペプチドを介した自然免疫制御のメカニズムを解明することを目的とし、外的侵襲後の歯髄修復過程における神経ペプチドの放出、マクロファージの活性化、歯髄幹細胞/前駆細胞の増殖・分化、再生神経線維間の相互作用による修復象牙質形成機構に着目し、外的侵襲後の神経ペプチドを介した自然免疫制御メカニズムと修復象牙質形成促進との関わりを解明するために、歯髄修復過程における神経ペプチド、マクロファージの活性化、歯髄幹細胞/前駆細胞の増殖・分化、再生神経線維間の相互関係およびM2マクロファージの活性化と歯髄神経再生による新規歯髄再生療法を開発する基盤となる知見を提供することを目的とし、今年度は、実験的歯の損傷モデルとして、8週齢ラット(Wistar)臼歯近心隣接面にグルーブ状に窩洞を形成し、経時的(1日~2週)に動物を固定し、通法通りパラフィン切片を作製し、Ki67免疫染色にて術後歯髄治癒過程における細胞増殖活性を、さらに神経線維、M1・M2マクロファージ、樹状細胞の動態を、PGP9.5、ED1、ED2、OX6、OX62、CGRP抗体を用いて、免疫組織化学に解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物倫理申請の許可を得るために、時間が当初の予定よりかかってしまったため、動物実験実施時期が遅くなり、免疫染色を全サンプルにて結果を出すことが出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は申請時の実験計画に基づき行う予定である。 (1)歯の損傷後の歯髄治癒過程における神経ペプチドの役割の解析 2021年度に既に作成されている組織切片において、以下の免疫組織化学的解析を行う。Ki67免疫染色にて術後歯髄治癒過程における細胞増殖活性を、さらに神経線維、M1・M2マクロファージ、樹状細胞の動態、CGRP発現パターンの解析は、PGP9.5、ED1、ED2、OX6、OX62、CGRP抗体を用いて、免疫組織化学に解析し、さらにRT-PCR法にてCGRP、Dspp、Opn、硬組織形成細胞マーカー(ALP)、Ⅰ型コラーゲン(col 1a1)、細胞増殖マーカー(Cyclin D1)を検索する。 (2)歯の損傷後の歯髄治癒過程における神経ペプチドとマクロファージ、歯髄幹細胞/前駆細胞、再生神経の相互関係の解析 胎生期BrdUラベリング法で歯髄幹細胞/前駆細胞をラベルしたラットを用いて(1)と同様に実験を行い、ラット臼歯歯髄治癒過程におけるBrdUラベル細胞と歯髄内細胞増殖活性・アポトーシスおよびCGRPの発現パターン、M1、M2マクロファージの動態、神経の再生との関係を免疫組織化学およびRT-PCR法にて検索する。経時的(1日~2週)に動物を固定し、通法通りパラフィン切片を作製し、Ki67免疫染色、TUNEL染色を行う。さらに、BrdU・Ki67二重染色、BrdU・TUNEL二重染色を施し、歯髄幹細胞/前駆細胞の増殖能・アポトーシスを検証する。神経線維、CGRP発現パターン、M1・M2マクロファージ、樹状細胞の動態は、PGP9.5、抗CGRP、ED1、ED2、OX6、OX62抗体を用いて発現パターンを免疫組織化学にて解析する。
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Causes of Carryover |
購入予定であったQSPピペットチップ1-200μL 62-7024-77(Thermo:T110BR-Q)の入荷が、コロナ禍の影響として入荷されず、代替品を使用したため、差額が生じました。2022年度は入荷が見込まれており、使用することが可能となっています。
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