2023 Fiscal Year Research-status Report
非定型NLRP3インフラマソーム活性化機構に着目した歯周炎症反応制御に関する研究
Project/Area Number |
21K09887
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
金子 高士 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (10284697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉永 泰周 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (60452869)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯周病原細菌 / LPS / カスパーゼ4 / カスパーゼ5 / NLRP3 / ピロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病原細菌のLPSとそれに対する生体防御反応により産生されるIL-1βは歯周炎の発症・進展に深く関連している。しかしながら歯周病現細菌のLPS刺激により誘導されたIL-1β前駆体が、どのようにしてカスパーゼ1によるプロセッシングをうけて活性化IL-1βになるかは不明のままであった。近年の炎症性カスパーゼのカスパーゼ4とカスパーゼ5がLPSの細胞内受容体として同定され、それらの活性化を介してNLRP3インフラマソームそしてカスパーゼ1を活性化する経路が報告された(非定型NLRP3活性化経路)。そこで本研究では様々な構造を持つ歯周病原細菌のLPSによるIL-1β活性化における非定型NLRP3活性化経路の役割を明らかにするとともに、カスパーゼ4, 5活性化経路へ介入し、IL-1β活性化やピロトーシスを制御することにより歯周炎をコントロールする可能性を探ることとした。 ヒト単球/マクロファージ細胞株であるTHP-1細胞を用いて実験を行った。RT-PCR解析によりTHP-1細胞はNLRP3、カスパーゼ1、カスパーゼ4のmRNAを 発現していたが、カスパーゼ5のmRNAは発現していなかった。Echerichia coliとPorphyromonas gingivalisのLPSを用いたTHP-1細胞へのエレクトロポレーションはLPS濃度依存的にTHP-1細胞死を誘導し、それはNLRP3、カスパーゼ1、カスパーゼ4の各インヒビターにより抑制された。Western blottingによる解析では、両LPS によるエレクトロポレーションはカスパーゼ4とカスパーゼ1のデグラデーションを誘導した。さらにカスパーゼ4欠損THP-1細胞における両LPSのエレクトロポレーションは細胞死を誘導できなかったことからP.gingivalisによるピロトーシスにはカスパーゼ4が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リコンビナントカスパーゼ4とP.gingivalis LPSの結合力を非競合ELISAを用いたリガンド結合法とBlue Native PAGEを用いて行なったが、失敗に終わり、いまのところ結合力の測定ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、非競合ELISAに用いる試薬(抗カスパーゼ4抗体など)や実験条件を変更することで、カスパーゼ4の結合試験を成功させる。またGel filtrationを用いた方法やPull-down法などの実験的手法も試みる。
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Causes of Carryover |
本年度は福岡歯科大学口腔医療センターの移転、引越しのため、実験の進行が思うように遂行できなかった。
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