2021 Fiscal Year Research-status Report
口腔バイオフィルム制御能を備えた酵素担持フィラーの開発と修復材料への応用
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21K09892
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神野 友樹 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (10839202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 晴朗 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50736246)
壷井 莉理子 大阪大学, 歯学研究科, 特任助教(常勤) (20827430) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイオフィルム / 酵素 / フィラー / 歯科材料 / 菌体外多糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、酵素担持フィラーを作製するため、孔径の異なる3種類のシリカ系多孔質フィラー(平均粒径 5.0 μm)に対するデキストラナーゼ担持能を検討した。 酵素担持のための反応性官能基をフィラーに結合させるため、まず、3種類の各シリカフィラーに対して3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を用いたシランカップリング処理を行った。その際、温度や反応時間の異なる種々の条件下でシランカップリング反応を試みたところ、75度の蒸留水中で3時間反応させることで、FT-IRにおいて2900 cm^-1付近にAPTES由来のCH伸縮振動のピークが検出され、良好なカップリング反応が行われたことを確認した。その後、シランカップリング処理後のフィラーをグルタルアルデヒドと反応させ、フィラー表面にアルデヒド基を結合させた。 続いて、APTES-グルタルアルデヒド処理を行ったフィラーへのデキストラナーゼ担持能を評価するため、各処理フィラーをデキストラナーゼ溶液に24時間浸漬し、BCA法によりデキストラナーゼ担持量を定量した。その結果、いずれの孔径のフィラーにおいても、APTES-グルタルアルデヒド処理を行わなかった群では、デキストラナーゼの担持が確認されなかった一方で、APTES-グルタルアルデヒド処理を行ったシリカフィラーは、いずれの孔径においても約50 mg/gのデキストラナーゼがシリカフィラーへ担持されていることが確認された。 さらに、デキストラナーゼ担持フィラーの酵素活性を評価するため、各デキストラナーゼ担持フィラーをデキストラン中に浸漬し、DNS法により還元糖を定量した。デキストラナーゼ担持フィラーは、非担持フィラーと比較して還元糖の生成量が有意に多く、多孔質シリカフィラーに対してデキストラナーゼ活性を維持した状態で担持されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の研究実施計画に則り、酵素を担持したシリカフィラーの作製に成功し、前述のような結果を得た。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に得られた結果に基づいて、酵素担持フィラーの長期的な酵素活性の変化や温度、pHに対する酵素安定性の評価、細菌の生成する多糖分解能の評価等を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)上述のように、本年度は、酵素を担持したシリカフィラーの作製に成功することができた。しかし、多くの学会がウェブでの開催と変更となり、当初予定していた学会発表等に伴う旅費等の支出が大幅に減少したため、次年度使用額が生じた。
(使用計画)次年度に開催される予定の学会発表での旅費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)