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2022 Fiscal Year Research-status Report

単斜晶アパタイトの局所合成によるエナメル質初期う蝕再生療法

Research Project

Project/Area Number 21K09898
Research InstitutionShowa University

Principal Investigator

荻野 玲奈 (田中玲奈)  昭和大学, 歯学部, 講師 (80585779)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 柴田 陽  昭和大学, 歯学部, 教授 (30327936)
宮崎 隆  昭和大学, 歯学部, 教授 (40175617)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsエナメル質 / ハイドロキシアパタイト / ナノ結晶 / 再石灰化 / 走査型透過電子顕微鏡
Outline of Annual Research Achievements

申請者らは,これまでの研究でマイクロCT撮影によるミネラル密度解析を用いて過酸化水素で漂白した天然のエナメル質は,結晶レベルで部分的な欠陥を生じると再石灰化が活発になることを示してきた.しかしナノアパタイト結晶の微細構造や結晶欠陥の詳細については未知であった.そこで,エナメル質未処理サンプルと低温アニーリングで合成されたエナメル質サンプルを作製し,走査型透過電子顕微鏡を用いてアパタイトナノ結晶の構造を3D走査電子顕微鏡で観察した結果,未処理のエナメル質ナノアパタイト結晶と比較して低温アニーリングで合成されたエナメル質ナノアパタイト結晶には表層から深層に向かって欠陥が多数存在することが明らかになった.
また,実際に低温アニーリングでイオン抽出液からアパタイトナノ結晶に取り込まれた元素の挙動について検証した.未処理およびイオン抽出液浸漬のみ,または漂白処理後イオン抽出液に浸漬した天然歯サンプルにそれぞれ,レーザ光を照射しサンプルを蒸発・微粒子化しながらマッピングするレーザーアブレーションICP質量分析を用いて検出・定量した.さらにイオン抽出液に含まれるイオンのうちアパタイトナノ結晶に取り込まれた元素の分布をイメージングした.この二つの分析結果から,低温アニーリングを行わずイオン抽出液に浸漬したのみのサンプルでもリンイオンの濃度が上昇し,低温アニーリングしたサンプルでは象牙質部分でストロンチウムイオンの濃度が上昇することが明らかになった.
今後ナノスケールで結晶構造解析を行うための予備実験として,集束イオンビーム装置によるマイクロサンプリングでエナメル質を加工することを試みたところ,単斜晶アパタイトナノ結晶の走査型透過電子顕微鏡像を得ることができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでにマイクロCT解析の結果で示された漂白処理で生じるミネラル密度の低下が,エナメル質アパタイトナノ結晶の欠陥に起因するという仮説を裏付けるように,漂白処理ではエナメル質表層からエナメル質深部にかけて,アパタイトナノ結晶間に多数の空隙が生じることが明らかになった.また,集束イオンビーム装置による天然歯のマイクロサンプリングが成功し,これまで未知であった天然歯のエナメル質表層・深層,エナメル象牙境および象牙質のアパタイトナノ結晶の構造も観察することができた.このマイクロサンプリング法により,今後,低温アニーリングしたアパタイトナノ結晶のさらなる観察および結晶構造解析が可能になることが明らかになったため.

Strategy for Future Research Activity

低温アニーリングした天然歯エナメル質サンプルを作製し,走査型透過電子顕微鏡を用いて 合成された単斜晶アパタイトの超微細構造を3Dで観察しながら元素分析を行う.
また,低温アニーリングした天然歯サンプルにレーザーアブレーションICP質量分析を用いて,エナメル質内の表層から深層まで数か所と象牙質内でのCa/Pの測定を行い未処理天然歯サンプルとの比較を行う.
予備実験で行った集束イオンビーム装置によるマイクロサンプリング法で単斜晶アパタイトのナノ結晶構造を走査型透過電子顕微鏡によって観察し,エナメル質の局所構造を原子スケールで分析してイオン抽出液からエナメル質の結晶欠陥部に補完される原子の挙動を捉える.さらに再石灰化処理したアパタイトナノ結晶の結晶解析を行う.走査型透過電子顕微鏡像によりイオン抽出液に含まれるイオンの半径に基づいたシミュレーションを行い,結晶遷移に効果的なイオンを同定することで,単斜晶アパタイトナノ結晶が生成される過程における結晶遷移のメカニズムを解明し,生体内における結晶へのイオン導入の可能性を探る.最後に,低温アニーリングおよびイオン抽出液で処理した天然歯サンプルを人工唾液に浸漬し,マイクロCT解析を用いて非破壊でエナメル質の再石灰化傾向を定量的に分析する.

Causes of Carryover

(理由)旅費は,予定していた国際学会が現地開催からハイブリッド開催(オンラインでの発表)に変更になったため支出が少なかった.昨年度発注する予定であったエナメル質およびエナメル象牙境観察サンプルの加工が今年度に持ち越しになったため,サンプル準備にかかる研磨関連品や試薬等の物品費は予定より少なくなった.
(使用計画)物品費はサンプル作製に用いる消耗品の試料切断用ブレードが破損した場合の購入や,研磨剤および試薬の調整に用いるpHメーターの電極など消耗品を購入するために充当する.旅費に関しては,日本歯科理工学会,日本歯科保存学会,国際学会などで学会発表を行う.
その他の費用では,今後過酸化水素の濃度を変えながら様々な再石灰化条件を検討する際に,マイクロサンプリングによるサンプル加工の依頼にかかる経費として用いる.さらに加工したサンプルを走査型透過電子顕微鏡によって観察し,結晶構造解析を行う費用として計上する.

  • Research Products

    (4 results)

All 2022 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] The University of Sydney(オーストラリア)

    • Country Name
      AUSTRALIA
    • Counterpart Institution
      The University of Sydney
  • [Presentation] モジュラスマッピングによるエナメル象牙境の観察2022

    • Author(s)
      長谷川 正剛, 田中 玲奈, 真鍋 厚史, 柴田 陽
    • Organizer
      日本歯科理工学会第79回 春期学術講演会
  • [Presentation] Nano-scale structural characterization of whitened human tooth enamel2022

    • Author(s)
      田中(荻野) 玲奈, 長谷川 正剛, 周 君, 宮﨑 隆, 柴田 陽
    • Organizer
      International Dental Materials Congress 2022
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] エナメル象牙境の機械特性2022

    • Author(s)
      長谷川 正剛, 田中 玲奈, 小林 幹宏, 真鍋 厚史, 柴田 陽
    • Organizer
      第69回昭和大学学士会総会

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Published: 2023-12-25  

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