2021 Fiscal Year Research-status Report
多色細胞系譜追跡法を用いた歯肉接合上皮の細胞供給システムの解明と幹細胞の同定
Project/Area Number |
21K09899
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山本 松男 昭和大学, 歯学部, 教授 (50332896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
田中 準一 昭和大学, 歯学部, 講師 (40710166)
相澤 怜 昭和大学, 歯学部, 助教 (80710673)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 接合上皮 / 歯周組織 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
接合上皮は活発に増殖し、異物の侵入の防御をはじめ自然免疫の中心的な役割を果す。しかし、接合上皮組織を維持する幹細胞の存在や細胞供給システムの解明には至っていない。応募者は多色細胞系譜追跡法により、基底層から歯肉溝までの全細胞が1つの幹細胞に由来する「区画」と呼ばれる細胞集団の可視化にとりくんできた。タモキシフェン誘導型レインボウ蛍光発色マウスを用いた解析系を確立し、Cre組換え発色後24週で上顎第一臼歯(M1)接合上皮において基底層から歯肉溝までの全ての細胞が1つの幹細胞に由来すると思われる「区画」を構成していることを確認した。本研究の目的は、接合上皮を区画の集合体ととらえ、区画の構造から細胞供給システムを解明し、また幹細胞の同定を行うことである。区画内で幹細胞を頂点とする細胞ヒエラルキーの視点から階層性を解析することである。 H30-R2年度科研費基C「多色細胞系譜追跡法を用いた歯肉接合上皮幹細胞の探索」(本人代表)で構築したRosa26CreERT2/+×Rosa26rbw/+マウス解析系を用い前頭断面・水平断面での組織学的解析を加え、接合上皮区画の3次元的構造を解析することとした。具体的には組織学的に区画の数や構成する細胞数を評価することとした。その結果、同遺伝子改変マウスを用いた組織学的な解析の結果、接合上皮の前頭断面では外側基底板を底辺とし、エナメル質に沿って歯肉辺縁までの三角形の領域が「区画」の概形であことが明らかとなった。水平断切片では明確に区別し得る異色の区画が歯の全周囲に視認できた。マウス上顎M1周囲で10サンプル平均12.4個の区画の存在が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つの幹細胞が、その子孫細胞によって組織を維持していく領域を区画というが、その3次元的な拡がりをはじめて明視化し、構成状態を確認するという、目的の一つが達成されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次のステップとして、本研究の目的の一つに掲げた幹細胞同定に向けて、区画内部における幹細胞の性質をもつ細胞の解析を進める必要がある。古典的な分裂細胞の解析としてBrdUによる分裂細胞の検出、位置の同定があげられるが、既に投与量や観察期間の条件設定に取り組んでいる。
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Causes of Carryover |
2021年度はコロナ感染症の拡大により、研究活動が制限されていたために計画通り進行しなかったものがあった。そのために研究に使用した額が計画の金額を下回ったため。 前年度実施予定であった組織切片中での免疫染色等による幹細胞の探索およびその準備は、本年度再開し試薬購入等に差額分(昨年度使用しなかった金額)を使用する予定である。
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