2021 Fiscal Year Research-status Report
超高齢者社会に適した高機能性歯質接着修復システムの開発
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21K09900
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宮崎 真至 日本大学, 歯学部, 教授 (70239391)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 再石灰化 / 生物活性 / ガラスフィラー / 機能性修復材 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請においては,マイクロクラックあるいはtooth wearの進行を積極的に予防するために,優れた耐久性を有する歯質接着技術とともに,歯質の再石灰化に有効となる各種微量金属作用に着目し,歯質強化を主眼とした新たな“高機能歯質プロテクト修復材”の開発を目指すものである。 バイオアクティブなガラスフィラーを用いて,その再石灰化に及ぼす効果について検討を加えた。すなわち,ウシの下顎前歯歯冠部唇側歯質を耐水性SiCペーパーの#600研磨し,これを被着歯面とする。この被着歯面に対して,試作高機能歯質プロテクト修復システムに含有させる金属イオンを想定したガラスフィラーを含有した試作修復材を塗布し,これらの試片をpH 4.75の乳酸緩衝溶液に浸漬する。その後,光干渉断層画像診断法(Optical Coherence Tomography; OCT)による内部変化を観察する。OCTを用いた観察時期としては,実験開始前および実験開始1, 7, 14, 21および28日経過後とし, Aモードスキャンからピーク強度および1/e2幅を算定してこれを評価した。また,レーザー顕微鏡ならびに走査電子顕微鏡観察を行った。 その結果,バイオアクティブガラスフィラーを用いることによって,ピーク強度とともに1/e2幅が上昇した。また,レーザー顕微鏡観察ならびに走査電子顕微鏡観察からも,エナメル質表面に石灰化物と考えられる析出物が観察された。 現在,歯質の再石灰化に有効なイオンとしてSi Ca P ZN Mg Sr Cu Bなどが挙げられ,それぞれ検討が加えられている。これらのイオンの中で,とくにSiおよびSrイオンに着目したガラスフィラーを用いた。本実験の結果から,狙いのように再石灰効果を得ることができたことは,研究の進展に大きな一歩となるものである。すなわち,金属イオンは,歯質の再石灰化促進効果があることを示ものであり,次世代の修復システム開発の一助となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験に使用している装置ならびにその運用においては,申請者が長年の経験を積んできたものであるところから,実験の進捗状況についてもおおむね順調に進展している。さらに,研究協力者の援助とともに,専門家とのディスカッションを重ねることによって,研究の方向性についても微修正を行っていることはもちろんである。さらに,現在の歯科保存領域における研究方向を推進することを企図した本研究が,多くの研究者から注目されていることが,発表論文から理解できる。このことも,研究推進のための一助となっているものと思われる。もちろん,研究計画自体に無理がなかったことも,研究がおおむね順調に進展している背景として忘れてはならない。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目で得られた結果について,さらに異なる視点からの検討を進めることが必要と考えられる。すなわち,再石灰化の状況について,超音波透過法を用いて検証を行う予定である。また,歯質,接着システムおよび修復材であるコンポジットレジンで構成されている接着界面において,その質的な評価として超音波透過法を用いてこれを検討することも計画として欠かせない。 今後の研究の推進に関しては,日本のみならず海外においても,本研究の成果を理解してもらうことを目的として,海外学会を含めて多くの研究者を交えたディスカッションを行う場を持つことができればと考えている。基礎研究の発展は,国の力になるものであるとともに,その成果を共有することは歯学という学問領域を世界的に発展させるものであるところから,多くの研究者を巻き込むことによって新たな方向性を求めることに役立てたいと考える。
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Causes of Carryover |
計画通りに経費を使用して実験材料および実験器具などの消耗品を購入したが,これらの調達にあたって,複数社からの見積もりを得て,最も安価な業者に発注を依頼するという従来からの調達作業を進めてきた。その結果,当初の予定よりも安価となり,端数としてわずかではあるが残金が生じることなった。繰越金と令和4年度の助成金を合わせることで,必要な実験材料とともに,研究精度を向上させるための用品など,研究によって得られる成果をさらに高めるために使用する予定である。
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Research Products
(20 results)