2021 Fiscal Year Research-status Report
歯内療法対象疾患に伴う疼痛制御因子の解明とその疼痛緩和に向けた実験モデルの構築
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21K09911
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
砂川 光宏 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (30179288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
興地 隆史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80204098)
橋本 健太郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80825662)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歯髄炎 / 視床 / 疼痛関連遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
5週例Wistar系雄性ラットの上顎第一臼歯を被験歯とし、神経興奮性・起炎性物質のallyl-isothiocyanate (mustard oil:MO)あるいは対照としてmineral oil(MI)の歯髄への貼付を、局所麻酔(LA)適用もしくは非適用下で行う4群を設定して行なった。実験期間は、実験的歯髄炎惹起後0.5, , 2, 24時間とし、各実験期間終了後、それぞれの実験群の両側視床よりtotal RNA を抽出した。 ついで、マイクロアレイ解析により各実験群において特徴的な発現パターンを示す遺伝子のスクリーニングを行い、MO貼付・LA非適用群の対側視床で、電位依存性カリウムチャネル(Kvチャネル)サブタイプであるKv1.1遺伝子(Kcna1)の発現が1時間後にMO+LA群と比較して顕著に低下することを認めた。さらに、Kcna1の発現をリアルタイムPCR を用いて定量的に解析し、対側視床におけるKcna1 mRNAレベルは、1時間後にMO貼付・LA非適用群で他群よりも有意に低レベルであることを確認した(p < 0.05)。 また、対側視床の免疫組織化学的解析により、Kv1.1の軸索における発現が確認された。MO貼付・LA非適用群では、Kv1.1陽性領域の密度は1時間後において0(歯髄処置なし)、24時間に比べ有意に低下した(p<0.05)。MO貼付・LA適用群では、24時間後のKv1.1発現領域の密度が0、1時間後に比べて有意に大きかった(p < 0.05)。 以上より、視床において,MOによって誘発された侵害受容入力に対応してKv1.1の発現が低下し,過興奮状態が誘発されたことが示唆されるとともに、視床のKv1.1チャネルが,傷害された歯髄に由来する侵害受容信号によって誘発される神経細胞の活性化の初期段階に関与している可能性が推察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初の予定通り、mustard oilをラット歯髄に適用して実験的歯髄炎を誘発後、視床で発現を変化させる「疼痛関連・疼痛制御因子」をマイクロアレイで遺伝子網羅的に、またリアルタイムPCR を用いて定量的に解析し、歯痛に関与する疼痛制御遺伝子としてKcna1を見出すとともに、視床におけるKv1.1の免疫組織化学的発現解析も実施したため、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ解析にて、Kcna1以外にも発現変化を示した遺伝子の存在を確認しており、これらについて詳細な遺伝子、タンパク発現解析を進める。また、エレクトロポレーション法によるラット摘出視床への遺伝子形質導入についても実験条件の設定を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症の影響により消耗品の輸送遅延が生じ、年度内の納品に至らなかったため、次年度に計上することとなったものである。今年度に計画的に執行する予定である。
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Research Products
(1 results)