2021 Fiscal Year Research-status Report
ジペプチジルペプチダーゼを標的とした新規歯周病医薬開発
Project/Area Number |
21K09913
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
野中 由香莉 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40710520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 信忠 北里大学, 薬学部, 教授 (00286866)
日高 興士 神戸大学, 保健学研究科, 非常勤講師 (30445960)
多部田 康一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20401763)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / ジペプチジルペプチダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は世界で最も罹患率の高い細菌感染症であり,その治療アプローチとして検査に基づく抗菌療法が望まれるが,現在,細菌検査結果は予防・治療に十分に活用されておらず,その有用性は低い。これには検査に基づく特異的な抗菌療法を有さないこと,つまり,原因となる細菌を特異的に除去または静菌する狭域スペクトル薬剤が未開発であることが背景にあげられる。 また,新規薬剤開発数が激減するなか多剤耐性菌による死亡者は年々増加し,AMR増加への対応は喫緊の課題である。既存抗菌薬の使用削減に加えて,歯周治療においても新規狭域スペクトル薬剤の開発が急務と考える。 この背景のもと,代表的な歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisを特異的に抑制する狭域スペクトル歯周病医薬の開発を目指す。代表的な歯周病原細菌であるP. gingivalis は糖非発酵性グラム陰性細菌であり,アミノ酸を栄養源とすることを特徴とする。ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)は細菌のペリプラズムに局在し,オリゴペプチドをジペプチドへと分解するエキソペプチダーゼであり,P. gingivalis DPPに対して選択的に結合する阻害剤は,P. gingivalis特異的に菌の生育を抑制する抗菌薬となる可能性がある。 本研究の目的は,細菌の生育に重要な役割をもつDPPを標的とした阻害剤を用いて,歯周病抑制の効果とメカニズムをin vitroおよびin vivoの両面から明らかとし,候補化合物群の中から臨床応用に最適な阻害剤を決定することである。P. gingivalis DPP阻害剤の特異的抗菌活性及び実験的歯周病モデルにおける歯周組織破壊抑制効果について検討する計画を立案する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき,候補となるDPP阻害剤について,in vitroにて細菌特異的抗菌活性の評価を行った。また,バイオフィルム抑制能についても検討を行った。 ここまでの研究の進捗状況としては予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度のin vitroの実験から得られた結果をもとに,次年度においては歯周病モデルマウスを用いて歯周病抑制効果について検討を行う。また,得られた結果については,現在特許出願に向けて準備を行っている。
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Causes of Carryover |
次の実験として歯周病モデルマウスを用いた予備実験を行っており,年度末をまたいだ実験となったため,次年度使用額が生じた。マウスモデルを用いた検討を引き続き実行する計画である。
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