2022 Fiscal Year Research-status Report
歯周組織構成細胞による細胞間相互作用関連因子の同定と歯周病治療への応用
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21K09921
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中山 洋平 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30434088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小方 頼昌 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (90204065)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞間相互作用 / 歯周組織構成細胞 / 歯肉接合上皮 / アメロチン / FDC-SP / ラミニン5 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症などの体外刺激に対して,歯肉接合上皮は歯面接着機構の恒常性を維持する。歯周病の治癒の際には,由来も性質も異なるセメント質,歯根膜および結合組織が協調して歯周組織が再構築していく。しかし,これら互いに近接する歯周組織間の細胞間相互作用は不明である。今回の研究は,歯肉上皮細胞,セメント芽細胞および歯根膜線維芽細胞3種の細胞から得られたConditional mediumを用いて,歯肉接合上皮の恒常性維持に関するセメント質および歯根膜からの細胞間相互作用に関わるマーカー遺伝子の発現変化を解析することを目的としている。 歯肉上皮細胞として不死化ヒト歯肉上皮細胞(TIGKs-hTERT,以下TIGKs)をDCBMで培養した。歯根膜細胞にはhTERT-HPL(以下HPL)を使用し,セメント芽細胞としてhTERT-HCEM(以下HCEM)を使用した。HPLとHCEMはαMEMで培養し,それぞれの細胞からのConditional medium(C-CMおよびP-CM)とした。同様にTIGKs培養後の培地はT-CMとしてコントロールとした。TIGKsを培養し,T-CM,C-CMおよびP-CMで48時間刺激して,回収した細胞からRNAを抽出した。Real-time PCRの結果,C-CMおよびP-CMで48時間刺激後,歯肉接合上皮特異的遺伝子であるAmtnおよびLamβ3 mRNAレベルが増加した。同様にP-CM刺激48時間でFDC-SP mRNA量は有意に増加した。 マイクロアレイ解析の結果,C-CM刺激48時間,T-CM刺激48時間刺激後の遺伝子群を比較し,Wiki pathwayにて関連する細胞内情報伝達系を検索した結果,C-CM刺激48時間で2倍以上増加した遺伝子を含む細胞内情報伝達系は56,2倍以上減少した遺伝子を含む細胞内情報伝達系は642であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞培養は今までの研究で培ってきた方法および技術を用いているため,問題なく行うことが出来ている。マイクロアレイ解析に使用したRNAに関しても,nano dropを用いて質が良好であることを確認し,マイクロアレイ解析を実施した。各CMによる歯肉接合上皮特異的遺伝子の調節に関わる細胞内シグナル伝達系を5つに限定した。
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Strategy for Future Research Activity |
各CMによるシグナル伝達系に関わる遺伝子群のmRNA量の変化をReal-time PCRにて確認したところ,マイクロアレイ解析結果と乖離している遺伝子が存在した。そのため,タンパク質レベルの変化も解析する。方法として,ウエスタンブロット解析でタンパク質レベルの変化,細胞の蛍光免疫染色法で細胞内の標的タンパク質の局在を確認する予定である。また,P-CMとT-CM間での遺伝子群の解析が滞っているので解析を進める。シグナル伝達系に関わる遺伝子の同定には,各遺伝子のsiRNAを使用した実験系も開始する予定である。
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Causes of Carryover |
細胞培養で使用する培地やサプリメントの購入予備費として,購入を考えていた。しかし,年度内の発注が必要なかったため,助成金の残金が生じた。 蛍光免疫染色法によって,細胞内情報伝達系に関与するタンパク質の細胞内の局在を検索するが,共染色に対応するため,数種類の抗体が必要となる。この費用に,次年度使用額を割り当てることを考えている。
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